なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

乙女戦争6  ワゴンブルグ戦法の天敵「クマン人(韃靼人)」傭兵

あー。「韃靼タイフーン」も読まないとなー。



このあたりからは史実の戦争は苦戦が続く一方になるし、ジシュカもあと数年後には病死する。
ここからは厳しい撤退戦、生き残りをかけた戦いになる。
「女の子がひどい目にあう話」の部分が徐々に大きくなっていくのかもしれませんね。

「長征」や「石の花」といった作品に近いものがあるけれど彼らは最終的には勝つ。
でも、この戦いは最終的に全滅する。「太平天国」や「レッド」のような戦いをどう美しく描ききれるか。
作者は本当に難しいことをやろうとしてるけれど頑張って欲しい。


ソウルジェム

今ならラウラの気持ちよくわかる。こんなに汚されたら元には戻れない気がする。
悪いヤツラを皆殺しにして血みどろのぐちゃぐちゃになっちゃいたい。
でもそれって、なんか悔しい。
私はシャールカみたいに変わらずにいたい。なんでもない顔で皆と再会したい。

この一年余りであの子は親しい家族や仲間を沢山失った。
そのたびに強くなったようにも見えるけれど、傷は残っているはず。
心の奥に何かが積もり積もって、ある時、限界が来る。
もし今がその時なら、あの子の戦いは今終わる。

クトナー・ホラ防衛戦。1万2千に対して敵は10万。

ジシュカの求心力は落ち、急進派のジェリフスキーが制御できなくなってきている
防衛戦にも関わらず、市民を敵に回す行為を行うなどバラバラ。
「コンラート・キーザー」の兵器などもあまり役に立たない。
傭兵隊長「ジョバンニ・アクート」の弟子「フィリポ・スコラーリ」の戦術もえげつない。

それでも、ジシュカの戦術でなんとか渡り合う。

しかし、ジェリフスキーの行為のせいで、クトナー・ホラカトリック市民が放棄。
フス派市民を虐殺して十字軍を引き入れたためあっけなく陥落。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%84%E7%B4%8D%E9%AA%A8%E5%A0%82

セドレツ納骨堂は非常に有名。


「稲妻作戦」で包囲網を突破し、本陣を攻撃する

なんか「キングダム」でも見たなこういう破れかぶれ戦法w
こういうのばっかりがうまくいくと面白くないんだけれど、今回くらいはまあありかしら。

ただ、生き延びた兵士は1000名弱しかいなかった。


戦局としては完全に敗北。「ガンパレード・マーチ」などの奮起によって局所勝利しギリギリ生き延びる。

戦局が不利になったことで、フス派の貴族は様子見で援軍を出さなくなる。


クマン人

モンゴルに破れ、ハンガリーのもとで自治区を与えられる。
15世紀頃までにはほぼ定住化・キリスト教化した。


ハンガリー軍参謀の「フィリップ・スコラーリ」と「ホークウッド」の関係

あー。「ホークウッド」ってマンガもあるね。この漫画とリンクしてくるとは思わなかったけど。

乙女戦争5 内部分裂の危機と「アダム派」「ビカルディ派」の粛清

だんだんとオリジナル要素が増えてきて、資料調べながら読むのが面白くなってきたのでなかなか先に進まないでござる。

ボヘミア第二の都市 クトナー・ホラを攻撃するも失敗

二度目の十字軍決議

・オーストリア公 アルブレヒト・フォン・ハプスブルク
 神聖ローマ肯定家ルクセンブルク家のエリザベートの間で婚姻。

ハンガリー初行軍だけでなく、ブランデンブルグ辺境伯、オーストリアからも軍隊を派遣。
 

フス派の中でも内部分裂が発生し、粛清が起きる

・これも史実かどうかはわからんのだけれど、戦争で追い詰められると、終末論とか過激な行為に走るのはよくあることよね。最初はまともなことをやってた人たちでも、だんだんおかしくなるやつ。

《アダム派》は実在した一派でした。フス派の内部にもいくつもの分派があり、ターボル派のような急進的な一派やより穏健な一派もありました。その中にマルティン・フースカという説教師が率いる《ピカルディ派》というかなり過激な一派があり、《アダム派》はそこから派生した一派のようです。フス派はこうした内部の価値観の違いを大きな課題として抱えながら、カトリック派と戦っていくことになります。

初戦は農民兵の寄せ集めだってのに。一人でも勝手な真似をするやつがいたら命取りなんだよ。

軍規だけが取り柄の寄せ集め軍隊。

「理想の共有」とか「結束力」だけが取り柄のものは、早く勝利出来ないとすぐに内ゲバを起こす。ちんしょうごこうのらんの頃から、太平天国中華人民共和国からソ連やら日本赤軍に至るまでなんでもそう。「利害関係」を度外視しすぎると長期戦を生き延びることが出来なくて、精神論が幅を利かせる。精神論だけになったら、過激派だけが生き延びる。ブラック企業もカルトも一緒だ。ちゃんと考えてなかったか、あまりに環境が厳しすぎると、そうならざるを得ない。

成功したところは、北条氏のようにさっさと源氏を滅ぼすか、イスラム教国家のようにさっさと国を割ってそれぞれ独自にやるし、ちゃんと利害関係も考慮する。力をきっちり持つ。

ここの暮らしも悪くなかったよ。戦争に比べたらね。ただ、誰にも心を開けなくなるだけ。親しくなってもすぐに死んでしまうもの。真っ暗な穴の底に要るみたいだった。ずっと祈ってた。さみしくて、会いたくて。

失敗した例から学ぶのは難しいが、失敗したものを知っておいて、なぜ失敗したのか、どうすれば成功するのかとう意識を持ってないと、成功したものだけをみてもコツがわからないのだから世の中って難しいよね。自分で考える力がアレばこんなことで悩まなくても済むんだけれど。



あーそういう身では山本直樹「レッド」は完結したら絶対に読まないとね。

乙女戦争4 プラハ近辺のヴィシェフラト攻城戦

畑作業の多くは共同作業だ。
農民ってのは号令に合わせて足並みを揃えて動くことに慣れているんだな。

日本も戦術系は得意かもねー。

もともとこの当時の銃は、馬をびっくりさせるとかの効果のほうが大きかったと思うんだよねー。鎧貫通とかは流石に違和感ある。なので、守りに向いてるってのはわかる。

ヴィシェフラト城 司令官はフシェムベラ

3ヶ月以上の戦い。兵糧攻めののち降伏させる。



ボヘミアカトリック同盟

ロジュンベルグ候とシュヴァンベルク候がカトリック側に寝返り。

本拠地であるボヘミアですら、カトリックが強いんだから、フス派の諸侯やら諸都市といってもたかがしれているよね……。本当に宗教的熱狂って感じ。

ブルゼニ市からカトリック軍が出撃し、フス派軍は城攻めとの二面作戦を強いられる

どんな屈強な戦士でも、一人では戦場を生き残れない。仲間を信用しないやつ、仲間を簡単に見捨てるやつは長生きしない。親父は誰よりもそのことを知っている。だから親父はカララ図助けに来る。それが勝つための最善の道だからな。


この巻はあっさり終わった感じ。史実とはいろいろ異なるので、巻末の補足も合わせて読むと面白いかなと。マンガとして面白くするためにいろいろ工夫されているのが分かって、漫画家さんってすごいなぁと思います。

歌を通じて軍規を教えるユニークな軍隊

ちなみにこの作品でよく歌われている「なんじら神の戦士たれ」はこの歌らしいです。

乙女戦争3  黒死病の恐怖

いまよりずっと強大だったポーランドリトアニア連合王国

ポーランド側はカトリック派だが、フス派にもある程度寛容。
リトアニア人はキリスト教を受け入れていなかったため、異教徒殲滅を掲げるドイツ騎士団と激しく対立。

当時はヴワディスワフ2世のもと、ドイツ騎士団を破り、神聖ローマ帝国並の勢力を誇っていた。

フス派はこれに協力を求めるが失敗……したのかな?


「ヤン・イスクラ(閃光)」 後の黒の軍代表によるジシュカ暗殺未遂

これは史実としては微妙な所。イスクラはこの後フス派の急進派の仲間になるしね。
→このイスクラはフス戦争で一番出世する人物なのでよく覚えておきたい。



フス派はカトリックに弾圧されていると言うが、それ以上に弾圧されていたユダヤ人たち

1389年には、プラハでユダヤ人虐殺事件が発生。3000人以上が犠牲になった。「黒死病の原因はユダヤ人」という風説が普通に信じられたりしていた。魔女のせいにしたりユダヤ人のせいにしたり、とにかく為政者たちは自分たちがどうにもならなくなったらすぐに弱いやつにすべてをおっかぶせて指示を得ようとしたのは昔から今まで変わらない。

ユダヤ教徒の犠牲者が少なかったとされ、彼らが井戸へ毒を投げ込んだ等のデマが広まり、迫害や虐殺が行われた。ユダヤ教徒に被害が少なかったのはミツワーに則った生活のためにキリスト教徒より衛生的であったという考えがある一方、実際にはキリスト教徒と隔離されたゲットーでの生活もそれほど衛生的ではなかったなどの見解もある。

まあそれと、金貸し業をやっていたため、踏み倒すためにしょっちゅう罪を被せられてたみたいですね。
日本の士農工商もそうですが、金貸しって基本的に強いから、権力側が押さえ込もうとしたのはわからんでもない。


紅星騎士団(ボヘミア発祥)

アネシュカ・チェスカー - Wikipedia

中世ボヘミア王国の王女でカトリック教会の聖人。記念日は3月2日。父はボヘミアオタカル1世、母はハンガリー王ベーラ3世の娘コンスタンツィエ。

創設者はガチガチの王族かよ……


お、この漫画について調べてたら、歴史マンガのまとめが。

巷にひとり在り : マンガで読む軍事史フェア

Tale of Rose Knight―ばら物語〈Vol.1〉 [コミック]は知らなかったので読んでみよう。
他にも「ホークウッド」、「傭兵ピエール」「狼の口」なんかは有名ですよね。

カトリック側はフス派包囲網を形成

もともとフス派は小勢力だからなぁ…




ペストはネズミの体に寄生する「ノミ」が媒介する

ペストは元々齧歯類(特にクマネズミ)に流行する病気で、人間に先立ってネズミなどの間に流行が見られることが多い。
ノミ(特にケオプスネズミノミ(en))がそうしたネズミの血を吸い、次いで人が血を吸われた結果、その刺し口から菌が侵入したり、感染者の血痰などに含まれる菌を吸い込んだりすることで感染する。人間、齧歯類以外に、猿、兎、猫などにも感染する。

①腺ペスト
リンパ節が冒されるのでこの名がある。ペストの中で最も頻度の高い病型。ペストに感染したネズミから吸血したノミに刺された場合、まず刺された付近のリンパ節が腫れ、ついで腋下や鼠頸部のリンパ節が腫れて痛む。リンパ節はしばしばこぶし大にまで腫れ上がる。ペスト菌が肝臓や脾臓でも繁殖して毒素を生産するので、その毒素によって意識が混濁し心臓が衰弱して、治療しなければ数日で死亡する

②皮膚ペスト・眼ペスト
ノミに刺された皮膚や眼にペスト菌が感染し、膿疱や潰瘍をつくる。

③敗血症
1割がこのタイプとされ、局所症状を呈しないままペスト菌が血液によって全身にまわり敗血症を起こすと、急激なショック症状、昏睡、皮膚のあちこちに出血斑ができて、手足の壊死を起こし全身が黒いあざだらけになって死亡する。別名黒死病

④肺ペスト
腺ペストの流行が続いた後に起こりやすいが、時に原発することもある。かなり稀な病型。腺ペストを発症している人が二次的に肺に菌が回って発病し、又はその患者の咳やくしゃみによって飛散したペスト菌を吸い込んで発病する。頭痛や40°C程度の発熱、下痢、気管支炎や肺炎により呼吸困難、血痰を伴う肺炎となる。呼吸困難となり治療しなければ数日で死亡する。

乙女戦争2  プラハ防衛戦①ヴィトコフの丘の戦い

「ヤン・ジェリフスキー」 フス戦争を起こすきっかけになった人物。

①フス戦争開始。ボヘミア国王ヴォーツラフ4世(ジギスムントの兄)が急死。

神聖ローマ皇帝ジギスムントが、ハンガリーだけでなくボヘミアの王としても戴冠。
 フス派殲滅のための10万からなる十字軍が派遣される。

プラハも旧市街は降伏。貧乏人があつまる新市街だけが取り残される。

④ヤン・ジシュカ率いる2000の兵がそれに勝つ????絶対に背後の事情とかあると思うんだがなぁ……。


神聖ローマ帝国の目的はオスマン・トルコと戦うために、国内での宗教争いを解決し一致団結すること

ビザンツ帝国が滅亡するのは1453年。フス戦争が集結してからわずかに14年後。

オスマントルコの脅威はヨーロッパまで迫っていた。そのためにジギスムントはコンスタンツ公会議で強引に教会の分裂状態をまとめ上げ、わざわざ地方の反乱一つを制圧するためだけに十字軍を結成した。
ジギスムント自体、1396年にオスマントルコとの戦いに破れている(ニコポリスの戦い)。オスマントルコへの雪辱にかける執念は強かったみたい。




逆に、マルティン・ルターの時にルターが殺されずに済んだのは、オスマン・トルコに押し切られて国内で争っている余裕がなかったからというのはかなり大きい。

騎士殺しの「ジシュカ」の夢  戦術や新しい兵器が騎士中心の戦場を越えること

こいつらなら何も恐れずに戦えるはずだ。
こいつらなら騎士の強さすら恐れず俺の戦術を実行できるはずだ。
50年かけて練り上げた俺の戦術を。
今度こそ俺は……

ちょうど14世紀初頭から製鉄技術が盛んになり、鋼鉄の鎧に身を包んだ騎士もメジャーになった。
大型馬に重い甲冑を着込んだ1トン近い塊が襲ってくるのだから当初は無敵の存在。

しかし、騎士は農村を基盤としていたため、15世紀初頭のこの頃は都市の貨幣経済が発展して地位が低下。「傭兵団」が盛んになったり、歩兵や弓兵、そして、大砲や銃によって敗れることが増えてきた。

日本より2世紀も早く、騎馬兵が勝てない時代が来てたわけだ。そう考えたら、日本がヨーロッパの軍勢と戦っても勝てるわけ無いわなー。



2大騎士修道会聖ヨハネ騎士団」と「ドイツ騎士団

ドイツ騎士団は、ポーランドとの戦いで疲弊し、ポーランド王国を恨んでいる。




軍規もなく個人の勇猛に頼るだけの騎士たちの敗北

「戦の戒律?軍の決まり事があるのか?兵がそれに従うというのか?」

「はい。聖書の戒律を守るのと同じですが」

「あの男の軍は、司令官の命令通り一糸乱れず戦うというのか」

中国の孫武が軍規を重視して大軍を率いたのと違い、ヨーロッパは15世紀になっても統率が取れず騎士道とかやってた。戦場のマナーや慣習はあっても軍規という概念がまだなかった。
そりゃ、中国に勝ったモンゴル帝国に勝てるわけ無いわな。オスマントルコにだって勝てないわ。

そんな時代にヤン・ジシュカが軍規という概念を持ち込んだと。

「領主制」というのが足かせになって、騎士の天下を阻むものをすべて抹殺してきたからこそ、進化が止まっていた。結局国王直属の常備軍という概念ができるまでずっとこのままだっただろう。

騎士は強くないといけない。強いから土地も権力も守れる。
格下相手に挑発されたら後には引けない。力を示すために真正面から突っ込むしか無い。

中世のヨーロッパは、宗教と領主制という2つの概念が足かせになりさらに黒死病などもあって、色んな意味で暗黒の時代だったのかもしれないね。まぁ日本の武士だって、モンゴルに侵略された時に同じ弱さを露呈させていたわけだけれど。

そして、ヨーロッパがこんだけ停滞の時期を迎えていて、なお日本より2世紀も進んでたというのが恐ろしいね。それだけ、ヨーロッパは常に戦争ばっかりやってるってことだ。野蛮だよこいつらは。日本は、結構長期政権が多いよね。その分戦争の発展も遅かったりしたわけだけれど。

幕末期に、高野長英らが、西洋の武器は戦術書を見て、これは勝てないってすぐ悟ったと言うからどれほどの差があったんだろうね。

「乙女戦争」 ヨーロッパで初めて銃が本格的に使われた戦争

歴史漫画としてもかなり挑戦的な印象を持ちますね。「軍靴のヴァルツァー」と同じく、戦争におけるパラダイム・シフトをテーマとしている作品で、とても興味深く読んでいます

フス戦争はヨーロッパ史最初の火器を使った戦いと言われる。1420年代初頭にヤン・ジシュカの生み出した、手銃を装甲馬車(Tabor)とともに活用する戦術によって、当時の騎士による突撃戦術を完膚なきまでに打ち破った。ヨーロッパ諸国を敵に回したフス派は貴族や庶民が団結し、当時の国王の私兵である軍隊ではなく、国民軍の原型のような軍隊を作り上げた。

フス派は歴史的には闇に葬られた存在。これをどう描くか。

ヤン・フス」は1415年に死ぬ。英雄「ヤン・ジシュカ」も1423年に病気で死ぬ。そしてフス派は1439年に滅亡する。これは確定している

1439年、ポーランドでは既に王が代替わりしてヴワディスワフ3世となっていたが、フス派の略奪行為に手を焼いていたポーランド王国政府はついに本格的な一斉取り締まりに乗り出し、グロトニキ(Grotniki)の戦い(英語版)でポーランドにおけるフス派を壊滅させた。これによってフス戦争はすべて終わった。

つまり、最終的に十字軍と戦って民衆が勝利する物語として描くことは出来ない。ならばどうするか。

ジシュカの軍に参加した人の乙女の視点でフス戦争を語る

この作品の主人公は「シャールカ」という女性。この女性が生き延びるために銃を持って戦う、という展開になる。日本の戦国時代において、女性が武器を持って戦う描写はないが、このあたりがなかなか新鮮だ。これによって、シャールカ次第で話を途中で終わらせることもできるし、フス戦争後まで描くことができるかもしれない。どうなるだろうか。

また、日本でも本願寺など宗教勢力は強かったが、それでも宗教はトップではなかった。ヨーロッパでは利害以上にこの宗教的な建前が大きい。幕末の尊皇に近い概念がいろんな判断を歪める。このあたりの駆け引きがとても面白そうだ。


マクロ的な事情はおさえておいたほうが良い

重要なのは2点。

1 「コンスタンツ公会議」後であり、教会が権力を確立させようと躍起になっていた事。
  このために異端派に対する弾圧が過激になっていた

2 ポーランド王国が各国から槍玉に挙げられていたこと

です。

①宗教弾圧

基本的に、長い間に異端とされた宗派は色々あるけれど、どれも「聖書主義者」とか言われてる。
詳しいことはよくわからんです。

1182年 ワルドーの追放

1401年 反ウィクリフ法(ウィクリフ自身は1384年に病死)

1414~1418年 コンスタンツ公会議

1409年 ピサ教会会議でアレクサンデル5世が新教皇ヨハネス23世→廃位
ローマ教皇グレゴリウス12世は退位
アヴィニョン教皇ベネディクトゥス13世は1417年廃位

最終的に「マルティヌス5世」が唯一の教皇として選出され、シスマが終結

1415年 フスが火刑に処される

1419年 フス戦争が始まる。

1420年 フス派殲滅のための十字軍を発動。

1439年 フス派弾圧終了

ーーーーーー

1498年 サヴォナローラが火刑に処される

1517年 マルティン・ルターの95ヶ条の論題

1522年 ドイツ騎士戦争 → 1526年ドイツ農民戦争

1526年 シュパイアー帝国議会 →1529年 第二回シュパイアー帝国議会

1546年 シュマルカルデン戦争→1555年 アウクスブルクの和議

1618年 三十年戦争


ドイツ騎士団によるポーランド王国の敵視ぶりがやばい

ファルケンベルクのヨハン「ポーランドは未信者と同盟してキリスト教徒の騎士に反抗したのであるから、絶滅されるべきである。未信者を守護したポーランドは死に値し、未信者よりもさらに優先して絶滅されるべきである。ポーランド人から主権を剥奪し、ポーランド人を奴隷にすべきである」

パヴェウ・ヴウォトコヴィツ「アホかこいつ氏ね」

マルティヌス5世「ヨハンは破門な」

コンスタンツ公会議を開催し、シスマを集結させたローマ皇帝「ジギスムント」はかなりのやり手

ジギスムントは神聖ローマ皇帝であるだけでなく、ハンガリー王国の国王でもあった。


・ジシュカたちの拠点は神聖ローマ帝国内の国家「ボヘミア王国」の都市「ターボル」。

ハンガリー第一都市「プラハ」もフス派の影響力が強かった。


銃(ピーシュチャラ)は女性のための武器だった?

この頃の銃はまだ主力の飛び道具である弓や弩には劣る貧弱な武器だった。
実際フス派軍も、銃よりも遥かに多くの弩を装備していた。
銃は腕力が必要なく操作が簡単であるという利点があり、
こうした特徴から、本作ではピーシュチャラを女性専用の武器として描写しています。

フス戦争がメインというより、この「銃」を使った戦い、というのが
後の世から見た、この戦争の大きな意味ということなんでしょうね。

「疾風の勇人」1巻 今の高校生には、歴史の教科書読ませるよりまずこの漫画読ませたほうが絶対に有益

所得倍増計画」で有名な池田勇人が主人公です。
話は1947年、大蔵省次官になったところからスタートします。


「税の徴収のエキスパート」であった大蔵官僚時代

マンガではすごく若い容姿で描かれていますが、当然ながら大蔵省次官に若くしてなれるわけはありません。スタートの時点で池田勇人は48歳です。ちょうど池田勇人が大蔵省でのキャリアを終え、政治家を志すところですね。この大蔵省時代の経歴も理解しておくとより面白く読めるかなと思います。

1899年 広島県豊田郡吉名村(現・竹原市)生まれ。
1925年 京都帝国大学法学部卒業後、同郷の政友会代議士・望月圭介の推薦を受け大蔵省へ入省
1927年 函館税務署長に任命される
1929年 宇都宮税務署長を務めるが、落葉状天疱瘡を発症、大蔵省を休職後退職
1934年 病気が完治した後大蔵省復職 
玉造税務署長、熊本税務監督局直税部長、東京税務監督局直税部長を歴任
省内では、賀屋興宣と石渡荘太郎の二大派閥が対立していたが、池田は同郷の賀屋派に属する。
1941年 蔵相となった賀屋の下で主税局国税課長となる
国税課長時代は国運を賭けた太平洋戦争と重なり、賀屋とともに、日本の歴史上最大増税を行い軍事費の膨張を企てた
1944年 蔵相が石渡に交代して主流から外され、東京財務局長に。
1945年 主税局長。初の京大出身の局長として新聞記事になったほどの異例の抜擢。戦後GHQ本部に出向き、戦後の税制改革の協議を担当。
1947年 第1次吉田内閣(大蔵大臣・石橋湛山)下で、主計局長だった野田卯一を飛び越えて大蔵次官に就任
1948年 48歳で大蔵省を退官し、政治家を志す

池田勇人は大蔵省内では厳しい税の徴収で知られ、また戦時中には、戦費のために様々な税を設定したりしていました。

戦時税制|税務大学校|国税庁

日本の租税 - Wikipedia

<戦時税制=通称馬場税制
1937年 有価証券移転税、外貨債特別税、揮発油税、セメント税、麦粉税、南洋群島臨時通行税導入:戦費調達
1937年 揮発油税導入
1940年 法人税法所得税法から独立。物品税(1989年廃止)、通行税、入場税(1948年に地方移譲、1954年から1989年までは国税として再度課税)導入:戦費調達
1940年 源泉徴収の拡大
1941年 写真撮影税、馬券税、美容整形税導入:戦費調達
1942年 広告税(1946年廃止)、馬券税(1948年廃止)
1946年 財産税:10万円以上の財産を所有する個人に一度限りの課税。戦時補償特別税:戦時補償請求権に100%課税。
1947年 贈与税、事業税、電気ガス税、軌道税、軌道税付加税の創設
1948年 固定資産税の創設
1949年 シャウプ勧告

シャウプ勧告~太平洋戦争前後の税制について。 - 大学受験の参考書と... - Yahoo!知恵袋

見ての通り、今の日本の税は、日露戦争日中戦争中に開始しているものが多く、そのしくみを考えていたのが池田勇人たち大蔵官僚いうことになりますね。その中枢部分にいたということで、この時点でかなりの重要人物です。

それでもこの時点では池田勇人はあくまで官僚です。

「日本の独立」を目指して、吉田茂のもとで政治の世界へ転身することに

GHQには)大規模な財政出動で経済を動かそうというニューディーラーが集まってる。計画経済ってやつだ。お前らのほうがよく知ってるだろうが。それには税金がいくら会っても足りない。連中は本国(アメリカ)ではできないいろいろな社会実験をしたくてウズウズしてるんだ。インフレで経済が吹っ飛ぶのが先か。復興するのが先か。俺達は彼らの実験のためのモルモットだな。」
「いつまで日本は占領国なんじゃろうのう」

日本はサンフランシスコ講和条約までは扱いが占領国であり、独立とはいえない状態であったと。そしてそうした国の現状を憂いていた池田勇人吉田茂前総理に声をかけられて彼の派閥に入る、という展開になっています。

貴様らも、あの連中にはさんざん煮え湯を飲まされて来たろう!
GHQが何の略か教えてやるっ!
Go Home Quickly!! とっとと帰れ、だ。バカヤロウ!!

ちなみにこの「Go Home Quickly」発言は大和田秀樹の創作ではなく実際に吉田茂が発言したものです。名言・失言で有名な吉田茂は見どころが多いですね。

連中をとっとと追い出しての。
この真っ白い、何も描いてないキャンバスに
わしらの「日本」を描くんじゃ

しかもこちらは史実がベースですから本当に熱いですね。


まずは選挙で社会党民主党国民協同党に勝つところからスタート

吉田茂の派閥に属した池田勇人だが、吉田茂率いる自由党は、戦争の敗北の影響で、選挙では惨敗していた。

日本社会党143
民主党124
国民協同党31
VS
自由党 168

これを巻き返せなければ、国家を率いて独立を目指す以前の話になってしまう。そこでどうやって吉田が仕掛けていったか。こういう政党間の戦争から彼らの戦いが始まっていく。
「炭鉱国有化法案」を利用した党派の切り崩しや「昭和電工疑獄」などの駆け引きを経て、まず吉田が政権をもぎとりにいきます。そして、いよいよ池田勇人の政治家としての初選挙が始まる……。

というわけで、初っ端から非常に面白い予感がします。



2巻を読むと、政治家というものにたいする対する認識がかなり変わります。