「美醜の大地」 「第2次大戦末期の南樺太」という舞台
ストーリーはどうでもいいが、導入の「戦争終了直前の樺太の女学校」という設定が妙に興味を惹かれる。
戦前に樺太にあり、戦争終了後にソ連軍の進行の影響をウケた(15日以前には被害がなかった)、そしていじめのリーダー格は樺太で最も大きな製紙会社を経営する一族の令嬢とのことで、お嬢様が通う私立学校となると
https://millefeuille-of-concrete.jimdo.com/japanese-salad-bowl/教育/
https://ameblo.jp/1tasu1wa3/entry-12262119767.html
「樺太庁豊原高等女学校」が有力かなと思う。
・・・・・・って、後でそのまんまちゃんと名前が出てきてました。
北海道留萌殉難事件
戦争終了した8月15日以降に樺太にソ連軍が進行してきたという描写についてはこちら。
http://www.sankei.com/premium/news/150813/prm1508130012-n1.html
大泊港に引き揚げ船が出ていたという描写。そのうちの一つが本土前で撃沈されたというお話も史実どおりである。
樺太への侵攻は11日に始まり、ソ連国境近くの古屯(ことん)付近で日本軍と戦闘になった。北部の住民が南部に避難してきたが、近藤らが暮らす落合町など南部は空襲もなく、今ひとつ戦争の実感はなかった。
20日には、樺太西海岸の拠点だった真岡町にソ連軍が上陸した。内地への引き揚げ命令が出た22日、ソ連軍は樺太庁のある豊原市(現ユジノサハリンスク)を爆撃。同日、引き揚げ者を乗せ、北海道・小樽に向かっていた小笠原丸、第二新興丸、泰東丸の3隻が国籍不明の潜水艦の攻撃を受け、第二新興丸を除く2隻が沈没、1700人以上が死亡した。この事件を受け、引き揚げ事業は中断され、近藤ら大勢の日本人が南樺太に留め置かれた。
サハリンに名を変えた南樺太は無法地帯となった。ソ連兵は傍若無人だった。短機関銃を構えて民家に押し入っては時計や万年筆、鏡など貴重品を手当たり次第に略奪したが、黙って見ているしかなかった。
日本に一時帰国できたのは平成2年5月。千歳空港に降り立つと弟が出迎えてくれた。42年ぶりの再会だった。
もしも復讐に挫折したら、ハナはどうなってしまうんだろう?
人生のすべてを憎しみに費やすことでしか、生きるすべがなかった彼女が。
もしその目的を果たすことが出来なかったら……
とはいえ、このあたりは史実をそのまんま描いただけであり、マンガにはあまり活かされていない。というか、いじめについて、いじめてた人間の個性などは全く描かれていなかったから、復讐のシーンをみてもあんまり感情移入できないあたりあんまり上手くない。
ただ、南樺太から脱出した元いじめっ子たちも、戦後決して幸せな暮らしをしていたわけではないというあたりはリアリティがあってよいかなと思います。
氏名 | 住居 | 戦後の境遇 | 復讐結果 |
大塚敏恵 | 北海道川上町 | 旅館の若女将。そこそこ幸せ | 犯罪者扱いされ実家を追われ顔に大怪我を負った上で療養院送り |
小倉百子 | 北海道別海町 | 農家の手伝い。つらそう | 結婚詐欺に騙され借金を負い遊郭送り。薬漬けで廃人に |
奥田スミ子 | 北海道函館市 | ウェイトレス。余裕 | 顔を硫酸で焼かれた後事故死 |
瀬尾サチ | 北海道札幌市 | 一家破産、シングルマザー、M女 | 底なし沼にハメられるが生還。後に大塚敏恵に殺害される |
常岡久次 | 北海道夕張市 | 北海道でも学校教師を続け生徒を虐める。楽しそう | 寄って火に顔を突っ込み大火傷。失明し失職 |
桐谷ヤエ子 | 北海道室蘭市 | 縫製学校中退。水産加工場で勤務。空き巣を繰り返す | 警察に捕まり獄中で自殺 |
高嶋津絢子 | 北海道札幌市 | 白川グループ御曹司と婚約 | 復讐成らず |
復讐した相手を生かしておくと、復讐し返される
最初のターゲットだった「大塚敏恵」は生存しており、主人公への復讐を決意して暗躍する。
あたしがハナになればいいんだ。
あいつになりすまして、なにもかも、市村ハナのせいにしてやればいいのよ。
そして最後に、この手でアイツを!
あと、やたらと綿貫という新聞記者がこの事件を追いかけようとする。
ハナ以外にも高嶋津絢子に復讐したい人間が登場
深見栄一という弁護士が登場する。かつて高嶋津家に親の事業を潰され、親は自殺。その復讐を狙っている。「桐谷ヤエ子」から情報を聞き出した後殺害。
というわけでまだ完結してないので、とりあえずここまでメモ