なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

大学二次試験の人物重視案があるらしいけど、元ネタのアメリカの大学の人物重視はどんな感じ?

http://mainichi.jp/feature/exam/news/20131011ddm001100037000c.html

・1次試験で大学入試センター試験を基にした新テストを創設。結果を点数グループでランク分けして学力水準の目安とする

・2回もペーパーテストをしないで済むよう考えたい。暗記・記憶中心の入試を2回も課す必要はない

・「1点刻み」の学力テストが2次試験から廃されれば、受験生の負担はある意味軽くなる。

・アドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)に基づき多面的・総合的に判断する入試を行うよう求めている

・だが、面接や論文、課外活動の評価は新たな競争も生み出しかねず、大学がそこで受験生の可能性をしっかり見いだすことも容易ではない。

学力重視か人物重視かを二者択一で決めるというものではないのかもしれないけどなんかいろんな議論をすっ飛ばして結論だそうとしてる性急さが気になる。ぶっちゃけ、形だけアメリカの入試制度マネしようとしてるけど、それについての理論付けがものすごく日本的という、理念と形式が食い違っているかなり致命的な提言になっているという印象

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/kaigi.html
議事録まだあがってないみたいなのでなんとも言えないけど、気になったことをまとめてみた。


追記
http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013101101001892.html
よりひどくなった。こういう適当に考えたものに、突っ込まれたら後から言い訳しまくるみたいなのは何なの?ネットサービスとかソシャゲのローンチと勘違いしてるのではないか

この案には「どういう前提」があるのだろう。「目的」と合致してるんだろうか?

仕事なんて、コミュニケーションが取れて、簡単な計算ができれば、あとは会社で覚えればいい、とう考え方ならば、確かに日本の教育は過剰と言えなくもない。 

実際、調査の結果として、今の教育の成果として、日本はコミュニケーションに支障をきたすほどに教育レベル(読解力・算数の力など)が低い人というのは少ないらしい。
http://www.afpbb.com/articles/-/3001117

そのレベルでいいというなら、学力なんかより人物重視というのもわかる。だが、そういう話ならそもそも大学要らなくね?なんで大学卒業しないと就職できないのって話になると思うのだが…。実際会議メンバーの中に「二次方程式は要らない」の曾野綾子先生とかがいらっしゃって、そういう前提であるとしか考えられない。

そもそも、学生にどうなって欲しいのか。大学にどういう教育を実施してほしいのか、国はどういう方向を目指すのかがよく分からんです。
http://blog.tatsuru.com/2012/08/08_0900.php


そもそも人物重視の採用って大学に可能なん?そのためのインセンティブあるの?

また、私の感想としては「人物重視の採用」というのがそもそも難しい。

私は前の会社で働いてるとき採用面接とかやったことある。もちろんいろいろマニュアルめいたものはあったけど、それで人物を見抜けたかというと、全然そんなことはなかった。(絶対に駄目そうな人を落とすくらいしかできない) 営利企業として、採用が大学なんかよりはるかに大事な企業でも、人物重視のノウハウなんて大して蓄積されてない=採用に対して、「要求は高い」けど、採用する側は学生に対してそこまで真剣ではない、ということを知っててびっくりした。 

まして、はずれがあっても構わない大学がそこまで真剣に取り組むだろうか。それならコストが低い学力テスト(これだって大変だけど)で絞り込んで、入学した生徒の中から優秀な生徒を選別して手間かけて教育する方が大学にとって合理的ではないだろうか。

また、ちきりんさんの「採用基準」を読んだときは、

1 会社自体に戦略がないと求める人材もクソもない
2 めちゃくちゃ明確に求める人物像を定める必要がある
3 かつそういう人を選別・育成するためには莫大な手間をかける必要がある。
  それだけの覚悟やらインセンティブを持てる企業でようやくなんとかなる

というように感じた。

東京大学EMPのような所ならともかく、
それ以外のところで人物重視というのは、どこまで有効なんだろうかと疑問がある。


以上は学力テストについても同じような批判があてはまる部分もあり
「どちらかの手法が圧倒的に優れている」という話ではない。
ただ、それなら圧倒的にノウハウが蓄積されている学力テストの方が有効な気がする。


日本の人物重視入試(AO入試)の現状

http://togetter.com/li/575380

・「AO義塾」という慶應AO入試(法学部はFIT入試という名称)の専門塾がある。「人物重視」であるAO入試に、「人物を評価してもらうためのスキル」を教える塾が出来、たった3年で大きな成果を出してしまった

・学力試験による入試だって、本来は「大学に合格しようと思ったら、知力や学力がついて、研究者として優秀になった」というものを目指したはず。が、現実には「大学入試が終わったら、すべて忘れてもいい」ような知識やテクニックのオンパレードになった。人物重視による入試も、「大学に評価されようとして、入試のときだけ表層を装う方法が出来た。入試が終わったらすべて忘れても大丈夫」になってしまったら…というのが、反対している人の多くの感覚だと思う。だから、まぁどっちも同じというのが私の考え

・一つ確実なのは、人を評価して選ぶのに、楽をしてはいけない、ということだと思う。「あ、国の仕組み(一次試験)に乗っかれば、入試問題を作らなくていいのか」などという発想をする大学は、どちらにしろダメ

入試システムが変わっても、合格する人の多くは重複するのではないかなと思います。

現状でもAO入試はやってるわけだし、その成果がどの程度検討されているのか気になりますね。
全教科学力重視の前期試験入学生徒と、AO入試や、科目数が少なかったり小論重視が多い後期試験で入学した生徒の追跡調査などがなされているのだろうか。

結局学力テストが出来る人は優秀な人が多いのではないか?

上で「入試システムが変わっても、合格する人の多くは重複するのではないかな」で思い出しましたが、一時期大企業で学歴不問で採用やった結果、ふたを開けてみたら殆どは優秀な学生は高学歴だった、という都市伝説みたいな話はよく聞きます。これってどこかにソースみたいなのあります?

もしこれが事実なら、「学力重視」が基本で、そこから多様性や、APに沿った生徒を募集する「AO入試」的なものが補足的にある今の入試ってものすごく合理的だと思うんですが、あえて改変する必要はあるんでしょうか。


アメリカの人物重視はどんな感じ?

とはいっても、実際アメリカでは人物重視の大学が多いと聞きます。
どういう仕組みなのか、なぜこれが可能なのか、大学のインセンティブはとかいろんなことが気になりますね。

単に「アメリカがやってるから日本でもマネすればいいんじゃね?」という小手先の話ではなく、根本から現在の仕組みを変えてこんな風に学生を育てたいってビジョンを示してもらえると、私も賛成したくなるかもしれないです。

http://blog.livedoor.jp/ryugakuusa/archives/25639408.html

・日本の大学では「現在優秀な学生」を評価するのに対し、アメリカでは「将来有望な学生」を求める傾向にあります。つまり、学生を現時点での学力だけで判断するのではなく、将来性を重視して
その可能性を的確に評価する

・スポーツや芸術活動、インターンやボランティア活動など、学業成績や統一試験:SAT結果以外のあらゆる課外活動を総合評価して、「人物評価」を行う大学がほとんどです。とりわけ「人物評価」の方法として重要なのは、出願(アプリケーション)の際に求められる志望動機や与えられた課題の「エッセイ」です。

・アメリカの大学は、出願者がどんなことを考えながら生きてきたのか、将来どのようなビジョンを持っているのかなど、エッセイを通じて学生の人物像を読み取ろうとする

実際、私はアメリカの大学についてはあんまりよく知りません。

・まず学費がクソ高いというイメージがある
・一度入学したら終わりではなくて大学間の生徒の移動が頻繁にあること
・資本運営の仕組みがそもそも日本と全然違う=当然インセンティブも違うであろう

http://www.wharton-eclub.com/kyouiku/kifu.html

アメリカの大学では、卒業生から募る寄付金は非常に一般的なことで、国内総生産比で1.7%です。日本が0.1%ですので、アメリカと日本の寄付金は17倍もの差があるといえます。では、なぜこれほどまで多くの寄付金をアメリカの大学は集めることができるのでしょうか。

アメリカの大学 (講談社学術文庫)

アカデミック・キャピタリズムを超えて アメリカの大学と科学研究の現在

アメリカ大学史 [高等教育シリーズ] (高等教育シリーズ)

この問題についてちゃんと論じるためには、この辺りをしっかり理解しないと行けないような気がしますね。


(その他参考になりそうなサイト)

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n5543