なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

「好き?好き?大好き?」

海燕君、君のことは十年くらい前から知っている。君はどうして、こんなに駄目になってしまったんだ。人を信じられなくなったのはいつだ」

「ひとを信じられなくなったのは、いまかな。」

「人を信じられない人間が、どうして人に信じてもらえるんだ。そうして、誰とも触れ合わないまま、ただ老いていくのか。それは悲劇であり、喜劇だ」

http://togetter.com/li/538705

うわぁ・・・。

このやり取り見ながら、勝手に橋本紡さんの精神の在り方とかを批判的にtwitterで呟いていたのだけれど、途中でなんとなくJ.D.レインの「好き好き大好き」を思いだした。

男は主に理知的に、女の非論理的な言動を戒めようとし、女はそんな男の態度を糾弾します。男は女を理解することはできないし、女は男を理解することができない。お互い、見ている方向がまったく違うのだから仕方がないでしょう。おそらく「彼」は、女が情緒不安定だと考えているでしょう。ひょっとすると、それを女性一般に還元して、「女とは話が成立しない」なんて考えているかもしれない。しかしながら「彼女」の側は、会話の内容ではなくして、会話する彼の態度自体を槍玉に挙げているのだと思われます。どういう態度か? 「彼女」のことを情緒不安定だと決めつけてしまうような、そんな高圧的な態度です。理解してほしくないわけではないけれど、何もかもわかったような態度で接してくるならば、いっそのこと理解してくれない方がマシだ。そんなことを伝えたがっているように見えます。そうするともう、彼はそれを理解しようとすればするほど決め付けに走ってしまい、彼女はまた苛立つのだから、堂々めぐりです。

http://d.hatena.ne.jp/my_you/20091014/1255538252

橋本紡さんと会話する場合、「好き?好き?大好き?」という彼の問いかけに対してすべて「然り」と答えられるかをしっかり自らに問うた上のほうが良いかもしれません。

レインの本職は精神科医でしたが、彼は「反精神医学」を提唱して、理解されるべき他者として精神病者を規定することを拒否したのです。ひとを理解することの究極的な不可能性。それが彼の詩のメイン・テーマ




□余談

R.D.Laing『好き? 好き? 大好き?』は日本でも広く知られた詩集です。

何故知られているかと言うと、もちろん作品自体もウケたようですが、それ以上に、とある作品にタイトルが利用されたからです。とある作品、というのが『新世紀エヴァンゲリオン』です。その25話「終わる世界」の副題が"Do you love me?"つまりこの詩集の原題だったのです

それはしらんかった!




□マイクロトラウマ
http://www.yo.rim.or.jp/~addict/info1/info5.htm

ミスティフィケーション:神秘化(Mystification)
これは、イギリスの精神分析医R.D.レインが提唱した概念で、「慈悲心、愛情を装いながら、他人から精神的に搾取する事」を示します。ミスティフィケーションは、子供が、他人(上記の例では母親)のメッセージを、あたかも自分の意志であるかの様に感じてしまうという点で、二重拘束よりさらに巧妙です。


レインの作品だと個人的には「好き?好き?大好き?」よりも

こっちが好き。