なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

「1518(イチゴーイチハチ)」 どんな道を選んだって全力で楽しめばそれは青春になる

日本死ね」って言葉が流行語になったという件でネットでしょうもない言い争いをしてる人達がいるみたいですね。もっと若かったら、あるいは今の年齢でも暇を持て余して元気なときだったらそういうしょうもない争いに喜々として参加してたと思うのですが、今はそういうことを考える余裕が全くない。

 

今の自分は、そんなことよりも「夢を奪われた」「人生のままならなさにぶち当たった」人たちが集まって些細な事だけれども自分の身の回りの小さな世界を変えていくことを楽しんでる「1518(イチゴーイチハチ)」の世界を眺めてる方が楽しいと感じる。

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この作品は「生徒会」という、経験がない人からしたらイマイチ実態がわからない活動をしてる人たちの物語。登場人物たちは夢半ばで破れたり挫折したり諦めたり、そもそも夢を持てなかったりした人たち。

そういう人たちが、「生徒会」を通じて目立たないけれど人たちの役に立ったり自分たちであれこみ「企み」をしてみんなでバカやって楽しむって光景を描いてます。

 

「究極超人あ~る」って学園コメディ作品が昔ありました。ハチャメチャですごい楽しい作品ではあるのですが今みたいに子どもたちがガチガチに縛られてる世の中であをやっても、「そんなのフィクションじゃん」っていって共感出来ないでしょう。でも、今の空気の中でも、それよりもっと普通の小さなことでも、十分に楽しめるしやり方次第では昔よりもっといろいろできるんだよってことをキチり描いてくれてる。こういうのって今の自分にとって一番グッとくる描き方だなぁって思います。


私はWeBマンガで一番人気と言われる「RELIFE」という作品はあんまり好きじゃないんですよ。ものすごく面白いし楽しいけど大嫌い。内輪感があまりに強すぎる。内輪感という言葉では物足りない。箱庭感が強すぎる。主人公たちだけが露骨に贔屓されててその空間だけが幸せに描かれてるから。そのせいでものすごい壁を感じるんですよね。もちろんそうせざるを得なかった事情というのはわかるから、それがダメだというつもりはないんだけれど、こちらとしては「遠い立場からの観客」としてしか楽しめない。非現実的な設定、ファンタジーとしてしか楽しめない。ちょっと違うけどきらら系作品を見てるのと同じ。「セラピー系マンガ」なんですよね。

(ちなみに「RELIFE」はそれを意識的にやってます。このメタ的な要素があるからこそ楽しめる。
 「モラトリアムのやり直し」→「どこかでそこからの脱出」が描かれることが約束されている。
 外の世界は残酷であるということを描きつつ、どこかでそこに戻らなければいけないわけで
 その先の部分が私は早く見たい。「結城友奈は勇者である」の続きと同じくらい楽しみ)

 

そういうんじゃなくて、おっさんになった私でも壁を感じずに楽しめるのは、やはりこどもにもおっさん的にも通じる「普遍的なものを扱っている作品」だと思う。「学生だから」「この物語の設定だから」って壁はその物語を楽しむために必要なものだからってのはすごくよく分かる。それでも、その壁が露骨に自分を拒否するように描かれるとたまに辛くなる。この作品は、そういうところは感じないです。それ故に、おっさんの私でも素直に楽しめる。これって簡単なようで結構難しいことだと思うんですよ。そういうところがホント好き。