「AV女優とAV男優が同居する話」 なぜしんどい恋愛をしたがるのだろう。
絵がかわいくてタイトルがお?という感じだったのでサクッと読んでみた。
逃げ場や愛情を求めて依存する兄妹なんて、きっと珍しい存在じゃない。ただ、それは恋愛であってはならない
幼いころ両親を亡くしてからずっとそうだった。どうすれば他人から愛されるか考えて動いてた。
スポットライトにあこがれていた。愛される人というものにあこがれていた。私を見てくれる人がほしかった。
それだけ。ただそれだけだったのに。
君がほしかったのって、「友達がいない上田君を救ってあげる私」っていう立場だよね?
「家族に愛されなくて愛に飢えている」とか
「愛されたくて精いっぱい」な感じの不器用な人たちを描きたい作家さんなのかもしれない。
私が好きな戸田誠二さんにちょっとだけかすってる感じするけれど、この作者さんは「恋愛中心」なので、ちょっと物足りない。
以下、ざっくりとした感想。
△AV女優とAV男優が同居する話
肝心の巻のタイトルを飾ってるこれは別にそんなに面白くないです。
まぁお互い接し方がワカラナイ男女を描きたかったんだと思うけれど、
別にAVである必然性なかったかなーという感じ。
○兄が好きな妹と妹が怖い兄の話
主人公に兄と双子の妹1、妹2がいて、兄には妹1が、自分には妹2がべったりという設定。
で、妹が一線越えようとしちゃう、と。
結構好きなシチュエーションなんだけどあっさり味すぎて盛り上がらず。
妹2かわいかったけどね。
◎自意識過剰なあたしの話
この話がすごい好き。
自意識過剰な女の子が、ちょっとはぐれてる男の子見つけて、その子にかまってあげてたら
周りに持ち上げられて、いつの間にか両想いだったんじゃないかと勘違いしてしまう。
なんかもう途中からはかまってあげてるんじゃなくて、女の子はすっかり男の子のことを好きになってしまってた。
しかし、男の子はあっさり、そんな彼女の勘違いを否定してしまう。
私のおかげじゃん……。最近クラスの子と雰囲気良いのとか私のおかげでしょ。
そういうの、ちゃんとしなきゃいけないでしょ?
私だって、こういうの言いたくないんだよ。
でも言わないと、私あなたのこともう手助けしないかもしれないよ?
私はあなたのためを思って……なのに、あなたは私のこと何とも思ってなかったの?
切羽詰まってるとはいえ、「私はパンを焼いてあげました」をやっちゃう女の子。これはつらい。
その後も、自分が否定されたようなショックと、あまりの恥ずかしさからその男の子を貶めるような行為を始める。
もちろん、あまりに露骨すぎて、実際は自分の株だけが下がっているのだが、
もともと自意識過剰で周りがちゃんと見えてない彼女はそれに気づかない。
このままだと、彼女は闇堕ちして、周りからも孤立してしまう……
そんなときに、男の子が一言言って、ばっさり切り捨てることで、ニュートラルに戻すことに成功する。
僕はね、長谷川さんの、人を引っ張っていくところ。良いところだと思ってる。
それがただ、どれも僕に合わなかったって言う話なだけだから。自分を正当化するために、ほかのものを下げては駄目だよ
もちろん、女の子からしたら、手痛い失恋なのだけれど、結果として、うまく乗り越えられて次につながっている。
「兄が好きな妹と妹が怖い兄の話」が設定上仕方ないとはいえ
どうにもモヤモヤしてしまう話なのに対して、こちらはとてもきれいにまとまっていると思う。オチも面白い。
×1日1回あなたを好きだと思わせて
「ごはんを一緒に食べてくれませんか?
毎日、一日一回でいいんです。私とご飯を・・・・・」「私はただ、1日1回あなたを好きだと思わせてほしかっただけ」
いや、わかるんだけど……わかるんだよ。
女性からしたらほんのささやかな願いがかなえられなかったとか、小さなすれ違いでも積み重なるとつらいって話を
ちょっとセンチメンタルに描きたかったんだと思うのよ。
でも、多分これ男視点から見たら、毎日なにか特別なものを期待されて失望の表情を見せられ続けんじゃないかな。
それはイライラさせられるよね……。
別に女性だけが悪いなどというつもりはないけれど、これ女性側は
「好きな点を見出して、それに好きって言う」という積み重ねをすればよかったんじゃないのかな……。
これだけ見てたら女の人がメンヘルすぎてきつい。
→とはいえ、これは「どうしてもだめなのに」とセットで評価すべきなんだろうなと思う。
あわせて評価するのであれば、なるほどなって思える作品。
「どうしてもだめなのに」は興味あれば実際に読んでみてください。
って。作者の巻末コメント見たら隠れテーマとして
「人間きっかけさえあれば成長できる」「成長するためには何が必要か」あたりなんかなぁ……。
「大地が成長するために必要だったきっかけは他者からの肯定でした。
梓が成長をするために必要だったのは、まだなんなのかわかっていませんが、
梓にきっかけをもらえた大地に迎えに来てもらえたことによって見つけられると思います。
二人は頑張って生きています。まだまだこれからです」
とりあえず、私は恋愛については、途中からしんどすぎて体力持たないからほぼ全部すっぱりあきらめてしまったので
こういうしんどい思いをして好きになったり、好かれようとしたりという気持ちがわからなくなってしまってるところある。
でも、他人のこういうのを読みたがるあたり、まだ完全にあきらめてないのかもしれないし自分でもよくわからないな(笑)