なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

岩崎夏海さんが別名義で出している作品を知ってますか?

創作者の中には二人の人物がいるらしい。

表現の最前線にいたいアーティストとしての欲求。もちろんフロントであるほど当然ユーザは減る。いっぽうでクライアントの要求に応える職人性とのせめぎ合い。マンガ家としてもわかりやすい対立項で、今回の問題は二人の人物……いや実作者は一人なので二人の人格と書くべきか……によっておこされたが、創作者なら誰しも自分の中にこの二つの人格を常に持っている。

岩崎夏海さんは、この件についてとても自覚的だと思う。


アーティストとしての岩崎夏海

岩崎さんは、自分の書きたい小説が、今の人に世間受けしないことはわかっている。岩崎さんいわく、自分は天才すぎてその感性が周りには理解できないらしい。岩崎夏海が本気で書いた作品は「今の人類には早すぎる」タグがついてしまうという。「アーティストとしての岩崎夏海」には現時点ではそれほど需要がない。


参考までに「アーティストとしての岩崎夏海の作品一覧。


三部作の一作目。続きが出ない…


三部作の一作目。続きが出ない…

職人としての岩崎夏海

一方で、岩崎さんは、基礎に忠実にウケを狙った作品なら作ろうと思えばいくらでも作れると豪語する。基礎教養が高く、かつ放送作家としてのキャリアを持ち、さらにビジネスを学んだという経歴を持っているため、「複雑な話を、マスレベルの大衆にわかりやすく伝える職人的技能」に自信があるのだ。

実際に、「もしドラ」を大ヒットさせたという事実は誰にも覆すことはできない。
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65782070.html

まったく中身を見ずに、タイトル、表紙、帯コピーのみでレジに持って行く本、これこそが売れる本だと言っていた。つまり、1文字たりとも本文を読まない本こそが、売れる本だと。さらに、書店の店頭で立ち読みして買うか買わないか決められるような本もダメだと言っていた。まったく中身を見ずに、タイトル、表紙、帯コピーのみでレジに持って行く本、これこそが売れる本だと言っていた。つまり、1文字たりとも本文を読まない本こそが、売れる本だと。ここまで言われると、すがすがしかった。で、実際にそういう本を作っていて、たしかに売れていた。売れる本の奥義を教えてもらった気がした。読まない本こそが、最も売れる本というのは、なんだか東洋哲学的でさえある

岩際夏海さんが実際にどういう戦略でもしドラを売っていったかは「まずいラーメン屋はどこへ消えた?「椅子取りゲーム社会」で生き残る方法」に詳しい。「もしドラ」は「職人としての岩崎夏海」としての試み、の比重が強い作品であると考えて間違いないだろう。 (発売直後は違うことを言っていた気がするけど多分私の勘違い)

「自分の書きたい本を書くためにこそ、副業で生きる岩崎夏海

岩崎さんはアーティストを目指す人は、この「職人的な生き方」はメインにすべきではないという。現在の岩崎夏海さんのメイン収入源は、本ではなく○○○と○○○であるらしい。本の執筆やブロマガの執筆ではない。
岩崎夏海さん本人の生きざまとかについて語るならここは外せないと思うんだけれど今回は岩崎夏海さんについて語るのが目的ではないので省略。(なかなかタイトルの「岩崎夏海さんが別名義で出してる作品」にたどり着かない…)

「職人としての岩崎夏海」を別名義で試す

そんな岩崎夏海さんだが、ネットでは「もしドラがヒットしただけの一発屋」「ハックル(ハックルは蔑称らしいですので気軽に使っている人は気をつけてください!)」「禿」など散々な言われようであり、もしドラのヒットのせいで逆に正当に評価されなくないことを不満に思っていた。

そのため、岩崎夏海という名前を表に出さずに、別名義で自分の作品がどう評価されるかを試すことにした。それがこちらの作品。

さて、世間の評価はどうだったであろうか。
ちなみに私の感想はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/TM2502/20121028/1351384427


 

「アーティストとしての岩崎夏海」を別名義で試す

岩崎夏海さんはアーティストにとって一番大切なのは「世の中の動きから、現在の人の心の奥底をとらえたり、未来を見据える感性」だと考えている。
そんな彼は、ブロマガで毎日社会についての考察?をつづりながら、一冊の本を出した。こちらも「ベストセラー作家の岩崎夏海」を前面に押し出してはいない。

さて、こちらの評価はどうだろうか。

今度ラノベを出すらしい。これは岩崎夏海名義。

http://info.nicovideo.jp/seiga/hucklenovel/


とりあえず、

□ドキュメンタリーの時代が来る
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar450097

□ヒット狙いからホームラン狙いにシフトしつつある出版業界
http://ch.nicovideo.jp/huckleberry/blomaga/ar453198

という考察から、岩崎さんがどのようなラノベを世に問うのかとても楽しみにしている。とにかくこの人は、いちいちいうことなすことがメタメタしくて、肝心のベタの部分が残念な感じになることが多いのだけれど、そんな人が、ラノベで成功するのかはとても楽しみ