なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

「圧勝」 やりたいことがいろいろ有るのはわかるけど欲張りすぎてなにもかも台無しにしてる残念すぎる作品

無料アプリで最新話までちゃんと読んだ。

やりたいことがわからないわけでもない。

作者は「限りなく透明に近いブルー」とか「なんとなくクリスタル」あたりが好きで、そういうのとミステリーをあわせたものが作りたかったんだろうなとかそういうことは思う。

ただ、そういうのをやろうとするには作者の技量が全然足りなくて、ただただダルいマンガになっているなと思う。単行本で読むのはかなり苦痛。

作中ではたくさん人が死ぬのだけれど、キャラクターに魅力がなさすぎるというか、どのキャラも空虚すぎて、自分と遠い世界の話すぎる上、描写も薄いので、本当に何にも盛り上がらない。

「作者にとっては身近な世界」という感覚なのかもしれないけれど、それを読者にとっても身近な世界、理解できる世界として描く努力があまり感じられない。



とまぁ、クソみたいな作品といえなくもないが、個人的にはこういうクソみたいな人間を眺めているのは大好物だ。

クソみたいな人間が自滅してボロボロ死んでいくのも非常によろしい。

そのあたりは面白い。

ただ、それ作品のメインじゃないだろ。 

そういうサブカルっぽいところばかりやって、作品の本題を疎かにしてるの、構成力のなさがもろに出ちゃってませんかね。



「フラテルニテ」みたいなことがやりたいんだろうけれど、もったいぶり過ぎて間延びしまくってる

とにかく主人公と吉田さんの描写がどうしようもなくつまらない。

いやわかるよ、ギャップ狙いだってのは。 

平凡な主人公と、人畜無害そうな女の子がいて、実はその彼女が諸悪の根源ってのがやりたいんだよね。それ「フラテルニテ」でみたからわかるよ。

あるいは「カルタグラ」かな。自分が接した女性がどんどん死んでいく。 それもわかるよ。二階堂くん視点だとそんな感じに見えるね。

やりたいことはわかるよ。でもさ。どっちもやろうとするの、難しいでしょ。しかも、どっちつかずになってるよね。 しかも上で述べたようにいらんところを長々とやってていろいろと悲惨だよね。


とにかくね。「圧勝」はもったいぶりすぎ。

フラテルニテも、主人公が無力で結構イライラする作品だったけれど、
それでもフラテルニテは、主人公がちゃんと不穏な空気を感じ取ったり、周りで起きてるやばい現象に関わろうとしてたのね。
友達が事件に巻き込まれたりして、主人公と事件との距離が離れすぎてなかったというか、主人公やばい! 主人公頑張れ!間に合わないぞ!ってのがあったの。


主人公が物語に関わる理由も動機もあった。



でも、この作品主人公と、物語中で起きている事件の間に二重三重くらいのフィルターを噛ませちゃってて、すごい遠いよね。

「なかなか裏で起きているやばい事件を気づかない主人公、その裏で起きている惨事」そういうのをやりたいなら、なんで彼女をさっさと死なせちゃってるんだ。構成的におかしいだろ。

彼女を生かしつつ、吉田さんというやばい女に、やばいと思いながらも関わっていく過程で、自分の大切なものがどんどん切り刻まれていく、って展開ならわかるよ。

でもあっさり殺しちゃってるじゃん。 そこで主人公は一回事件との関わりが断たれてるじゃん。

なんでそんなことするの?

それだと主人公にとって物語は、自分の意思で関わるものじゃなく、巻き込まれる受動的なものになっちゃうじゃん。

そんな物語読んで、読者が面白いと思う? 

「主人公が能動的に物語に関われない状態」ってのは出来る限り短くスべきなんだよ。 

物語に主人公が関わる動機のために彼女作ったんじゃないの? 

しかも、主人公を事件からほとんどリタイヤに近い状況にしておいて、その間物語どんどん進めちゃってるわけだけれど。

「読者は先に事件について全部見てるのに、主人公おいてけぼりの作品」って、じゃあ主人公が物語に追いつくまでの間、読者は何をしてればいいわけ?



いまのこの作品ってそんな感じの状態でそのまま話を進めちゃってるように私には見えるんです。





いろいろ考えてるのはわかる。考えなしに作品作ってないってのは十分理解できる。

でも、「最後まで読めば納得できる展開になるから頑張って最後までついてきて」は連載漫画ではだめだよね。 

この作品は、完結してはじめて意味が出てくる。最初か完結した形で出せるエロゲだったらまだよかった。 せめて小説。マンガでこれはないわ。