なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

「7seeds」31巻~33巻 悪いことをしたAくんは生きてても良いと思いますか?

「悪いことをした安居くんはこの世にいてもいいと思いますか会議」の巻。

安居くんは、物語の中盤で人を一人殺し、女性を一人レ●プしようとして未遂に終わり、その後同女性を殺害しようとした。実際に、一度それで一度村を追放された後、また戻ってきた。

このタイミングで先生はようやく安吾くんが犯した罪に気づく。

そして先生はみんなに問いかける。「安居くんはやってはいけないことをやりました。危険だから殺したほうが良いのではないか?みんなどう思う?」と問いかける。


この作品では結果として安居は殺されない。安居の罪が許されるわけではないが、先生以外、誰も殺そうとは言わない。だが、どの状況でもこういう答えになるだろうか?

最近いじめに関する事件について、はてなブックマークやネットの反応を見てると、結構安易に「こういうやつは殺してもいい」「むしろ殺すべきだ」という意見を述べる人が増えてきているような気はする。

その人を好きだとか、必要とする人がいれば許される?そういう人をつくったもん勝ち?

この作品においては、先生の視点=「人間を成功とか失敗作とみなす視点」への反発から、安居は擁護される。また、若い人間は間違いを犯したとしても、罪を認めるならそれを償い、立ち直ることができるという信念が示される。


①擁護する側の意見

涼、お前ははじめからずっと安居を見てるじゃん。心配なんだよな。なんか助けたいんだろ。大好きなんだろ。そんな人間がそばにいるってよ。安居の手柄じゃん。評価ってそういうんじゃダメなのかよ。

俺は安居も涼も好きだぜ?そういうんじゃダメか?

安居くんは、言葉で気持ちを伝えるのが苦手かもって思いました。
安吾くんが来てから、船旅がとても楽しくなったんです。
新しいことが一杯で、毎日がワクワクする感じなんです。
安居くんは、この世界にいて欲しい人です。

アンタは夏A以外は阿呆だと思ってるみたいだけどな。そうでもないんだぜ?
安居にしろ誰かが暴走したにしろ。それに支配されたりしない。
百舌さん。安居はバカでも俺たちを信用してくれないかな。
一般人も案外阿呆じゃないんだぜ。

②否定する側の意見

でもさ……怖かったよ、安居たち。僕はすごく、怖かった。

安心して。あんたたちを許すことは絶対にないから

佐渡メンバーがピンチ。ナツは何かできるのか?

できる人は、動ける人は、いつでも更に頼られて、任されて。
それにわかったって答えて困難に立ち向かう。
はじめから出来ない人には誰も頼まない。
じっとして待っているだけ。何も出来ない人は。
それでも、何かできたらいいのに。誰かのために。

信用されて。任されたい。

はじめは花が行動しているのに任せていた。
そして、それは正しかった。

しかし、花が行動できなくなり彼女からお願いされ、
最後の最後でついに行動する。

ナツだけでは無理だった。蝉丸はヘタレだった。
二人がどちらもお互いを失いたくないと思ったからこそ、



33巻 人生の物語を諦めた新巻くんは生きていても良いですか?

 
花は強い。けれど、それは嵐という支えがいるからこそ。

本当は何度も挫けそうになってる。そのたびに
嵐の存在が、嵐を思うことが助けになってきた。
この局面でも、嵐が彼女を励まし続ける。

一番ピンチなのは、新巻。

嵐は、花のことを考えてる。だから冷静になれている。

でも、新牧さんは、自分のことを考えている。

周りが見えていない。一番危ない。

今まで、新巻は一番の最年長として、落ち着いた存在と見られていた。
頼りにされる側だった。
だから、誰も新巻のことを考えてない。彼は大丈夫だろう、と。
そして、新巻も今までは花のことを考えていたから冷静だった。


しかし、その余裕は花のピンチで完全になくなっている。

僕の命はいい。持っていっていい。
初めから、余った命だ。
だけど、花さんだけは……!

完全に死亡フラグを立てまくって、逆に生き延びた。

あなたは花を助けてくれた。ありがとう。
でも、花の気持ちをあの時少しでも考えましたか。
花を助ける、守ると言いながら、
俺には、死に場所を見つけて嬉しそうに見えた。

新巻さんの人生がどれだけ辛かったかを考えたら、これを責めるのは酷だ。

ああ……僕は、本当に人を愛したことが、無いんだな。
愛したつもりでいて、守ったつもりでいて、自分のことばっかりか。



でも、寂しい…寂しい……
つらい。つらい。つらい。
誰もいない。何もない、何もない! 
どうやってこれで生きていける!
幻覚でもいい。あそこに、帰りたかった!!!

15年間、ずっと一人だった。
動物はいたけど、人はいなかった。
自分を生かすために犠牲になったふたりのためという義務感から生きていたけど、
死ねるチャンスがあるなら、いつでも二人のもとにいきたかった。


その気持を責めることは出来ない。



愛したことがないんじゃなくて、
愛しすぎて、それを受け取ってくれる存在が不在であることに耐えられない。

CLANNADの岡崎くんが最愛の妻渚を失った後のような状態になって、
それでも生きてきた。

そして、ようやく人に出会った後も甘えることができなかった。
人前で必死に大人のふりをして生きてきた。
自分が誰よりも叫びたかったのに、ずっと我慢して耐えてきた。
自分を律しなければとずっと歯を食いしばってきた。


みんなの輪の中にいても寂しさは癒やされなかった。
誰も自分を理解してくれないことの辛さを感じるだけだった。
それでも、なんとか「花のため」と言い聞かせて頑張ってきた。


それでも、もうとっくに、限界だった。
彼の人生の物語はもうとっくに終わってた。


人生の物語が終わっても、生きていればそこから新しい物語を作れる

どれだけ愛したか。それだけでしか判断できないんだ。
彼らは僕達とは違う生き物で、その気持はわからない。
でも、犬たちはあなたが大好きだった。
僕にそう言ってくれたように、あなたも精一杯愛したでしょう。


愛ということばは正直良くわかりません。
でも、僕はそれを知っていると思う。
あなたもきっと、それを知っている。
わかりますよ。だから寂しいんですよね。
あなたが愛して、そしてあなたを愛してくれた者たちがもういないことが。

そして、意外なことにゲンゴロウが彼を理解した。
正確には、理解は出来ないけど、彼の物語を整理してくれた。
そして、ようやく、今までの物語を終えることが出来た。

こうして新巻はようやくグリーフワークを終えて、
新しいことを考えられるようになった。

わたし、こう見て頑丈だから、つかまって歩けばいいわ。
あなたが意外とめんどうで鬱陶しい男だって分かったけど。
当面は様子を見て付き合ってあげるわよ。

あゆさんおとこまえーーー!

わたし、あなたといると、月が怖くないのよ。
だからいてもらわないと。