なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

ボールルームへようこそ3巻

まず見てもらうこと

実力者と同ヒートになると絶対こうなる。
見る側の視線が一組のみに集中し、ほかの奴らは
半端な見世物を踊ったくらいじゃ、フロアで完全に無視される

背すじをピン!と」では主人公たちが特殊なのであまり感じませんでしたがこちらの作品では「実力者と同じ舞台に立つということ」「陣地取り」のエグさをビシビシ感じますね。


物理的には感じにくいかもしれないけど、ブログだってそうなりつつありますね。ブログの場合は自分が相手に見てますよって伝えれば相手もそれを返してくれる世界なので救いがありますが、こちらは一切そういうのはなし。より冷徹な環境です。

だからこそ、見てもらうことがまず絶対条件。そのためにど派手な表現を取り入れたり、体を削りながら陣地とりをする。陣地取りの激しさは昔読んだ陸上マンガの「なぎさMe公認」を思い出します。

見られたうえで認めてもらうこと

で、見られることを優先するのはわかるけれど、いざ見られるようになったらそれでいいかというともちろんだめで、そこからは技術をきっちりみられると。

ダンスなんて、ステップを覚えれば誰だってすぐ踊れるしそれで踊れた気になっちゃえるのもダンスの良いところだけれど。あれはチャンピオンが踊ってこその王者の振り付けだ。お前らのを見せられても付け焼刃のへたくそがオナニーしてるようにしか見えん。

基本をすっとばして格好ばっかり。人の振り付けなめてるのか

見られなければいないのと同じ、というつらさもあるけれど
実力がないのに見てもらっても全否定されるつらさがある。


背すじをピン!と」の場合は部活ものだから、仲間が見てくれて、認めてくれるからこそ、いっぽずつ自分の成長を実感しながら着実に成長していける。みているこちらも楽しい。

ボールルームへようこそ」の場合、バトルの要素が強いので、見てもらったうえで勝たなければいけない。だからこちらも余裕のなさからくる緊張感がピリピリと伝わってくる。

ダンサー」であること

で、これだけだとしんどいなーって思ってたところでこんなことを言ってくれる人がいてほっとする

僕はね、「ダンサー」が好きなんだ。
キラキラしてて、魅惑的で、目が会えば途端に釘付けになる。
彼らの踊りね、「また見たいな」って思ったんだよ

彼らの踊り、丁寧だったよね。動きの一つ一つが。
ダンスに誠実で。
気づいたら、チェックを入れちゃってたよ。

公式大会ではないから、というのはあるけれど、そういうのを見て、認めてくれる人がいることが描写される。(主人公はそれを知らないのだけれど)


マンガだからってのはあるけれどなんかこういうのあるとうれしいよね。
「見てもらいたい、認められたい」がいきなりかなえられないとしても取り組みに対して真摯であれば、それを見てくれる人がいるかもしれない、という幻想があるのとないのでは、また全然違う。

リーダーになってフォロワーを輝かせること

さらに言うと、この作品は「ダンス」なので、二人でやるもの。
自分はまだ実力不足で認められないとしても、そこで終わりではない。

準決勝で自分の限界はわかった。
もう、僕はいい。
僕自身は上手だねってほめてもらえなくてもいい。

なら、後はまこちゃんだ。
まこちゃんは「私を花にしてください」といった。
応えるよ。応えさせて

というわけで、自分にまだ実力が足りないというのなら、
できる人を輝かせる形で動けばよいよ、というところまで描く。
「いいひと。」のゆーじくんを思い出した。



1巻でここまで全部描き切ってるのほんとすごい。


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1巻、2巻も面白かったけど
3巻は本当にそれだけで一つの物語として成立するくらい密度が高い内容で満足でした!