「ボールルームへようこそ」1~2巻
引き続き「競技ダンス」のマンガ。
以前よんだ時はとっつきにくいなと思ってたけど「背すじをピン!と」を読んだ後である程度読むための負荷が軽減されてるせいかするする読めた。
しずくと踊りたくないのか?
ほかの男のパートナーと踊れるチャンスなんてな
この先二度とないぞ
この作品は「なんかやってる」のはわかっても、ダンスについて説明がなくポンポンと用語が出てくるので、それぞれがどういう位置づけなのかがわかりにくかったんですよね。そこの部分を「背すじをピン!と」である程度フォローしてくれているので、続けて読むとすごくしっくりきます。
(別にわからなくても読める人多いのでしょうが、私はそこが頭に入らないと、ついていけないのでござる……)
こちらは「背すじをピン!と」と導入は似てるけど印象はだいぶ違う。「背筋」の方だと主人公の内面云々だとか「ほかの人に引きずられず、自分がまず楽しくあること」という部分の印象が強い。
これに対して「ボールルーム」は「真剣勝負」「ライバルとの闘い」という印象が強い。最初のダンスの描写から、読み手を圧倒してやろう、魅了してやろう、という意気込みを感じる。主人公も天才型。
なにより一番大きいのは「背すじ」はパートナーが最初からいるのに対して、この作品の主人公は序盤ずっと一人で練習していること。自分に合ったパートナーがいないというか、理想のパートナーはほかの人のものなんですね。
これによって、「パートナーの取り合い」のようなものが展開される。
お前が火をつけたんだ!
ど素人にオリジナルの振り付けを盗まれて
自分のパートナーを好き放題に踊らされたら
男としてだまってられねだろうが!
かといって理想のパートナーであるしずくは別にトロフィーワイフというわけではない。 相手に認められなければ、相手を満足させられなければ、相手から求められなければ何の意味もない。そういう綱引きを常に続けるわけですね。
この作品ではダンスのパートナーの関係は「恋愛」のようなものとして描かれているけれど、やはり恋愛とは違う。 漠然とした「好き・嫌い」だけでふわふわした印象を持つ恋愛とは違って、こちらは目的がずっとはっきりとしている。
魅せたほうが勝つ。勝つための条件は明確だ。
リード&フォロー。一体感。フロアを読む力。構成力。
そして、自身と存在感だ。
なんといっても二人の関係性を「他人に向けて表現して評価される」わけだから、緊張感半端ないだろう。真剣勝負だ。こういう関係って、めっちゃ格好いいよね。(ちょうつかれそうだけど)
というあたりが漠然とした感想。
その他の要素として。
この作品は「舞台に立つこと」そのものの意味をとても大事にしてると思う。
「フロアで踊り続ける」し続けるためには「周りをよく見る」「Line of Dance」を意識する→「それでも最後は自分のことを考えて主張する意思が必要」という部分をかなり丁寧に描いている
なんでそんなことを……
ダンスを始めたとたんどうしてみんな僕なんかにかまってくれるんだ。
僕なんかを見てくれてる人がいるだけでもうれしくて。パートナーに一緒に踊ってもらえるってだけでも奇跡なのに。
「自分のことを考えてもいいんだ」
言葉があふれて突拍子もないことを言いそうだ。
「ありがとう。僕を舞台に立たせてくれて」
遠慮はしない。ガンガンせめる。今まで思ったこともない、そんなこと。そんな、格好いいこと。ダンスなら、それが許される!
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