なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

「この世界の片隅で」前半  確かにこれは映画で見たい

まず1934年の、子供の頃の話から始まる。子供時代の話が3話ほどあった後でそこから「この世界の片隅に」の本編が始まる。子供時代の話は雰囲気がのんびりしてるし、すずさんも夢見がちな感じが出てていいね。すずちゃんすみちゃん鬼いちゃん(要一)でちびまる子ちゃんみたいな雰囲気を出してる。
すずさんは絵描くのが好きなんね。


1943年~ 呉

本編始まっても、のんびりした空気。1943年やから戦争の渦中のはずなんだけどそんな感じはしない。嫁入りどうするかとかで悩んでる。

で、声かけてくれた北條周作さんのところに嫁に行く。お父さんは昔は海苔つくりやっておったけど今は工廠つとめ。お義母さんは足を痛めている。 あと周作さんにはすでに他所に嫁入りしたケイコさんという姉がいる。
旦那の周作さんはおとなしい人なんで、だいじょうぶかなと思ったら実は子供の頃(1話)であったことがある人やった。で、録事の仕事で軍隊行く前にすずさんを探して嫁にしたいと声かけてくれたんだと。で、問題なく初夜を迎えましたとさ。

(第四回の隣組の描写には、なんかだいぶ前にtogetterでからんでる人いたね。togetterまとめ消えてたけど、何で騒いでたんだろうね。)

義姉のケイコさんは周作のことが大事らしくすずに厳しく当たるけど、すずはのんびりとそれを乗り越えてる。と、このあたりまではほんとにほんわかしてる。

1944年2月~

しばらくお暇もらって広島の実家に帰ってくると妹のすみは挺身隊で仕事をしている。よくよく考えてみると、去年すずの同級生も志願兵で海軍へ入隊してた。

でもすずの生活はそんなに変わらない。第8回のごはんの描写などは楽しい。

でも、そう見えないように過ごしているだけでやっぱり変わってる

周作が4年のとき、うちの人がいっぺん解雇されてね。同じ組の人もようけしつぎょうして引っ越しんさった。大事じゃったよ。大事じゃ思うとった、あの頃は。大事じゃ思えた頃が懐かしいわ……

1944年6月

近くで建物疎開をやる住宅が出始める。7月には空襲の警戒で防空壕を作る。義姉のケイコさんは夫と死別して家に戻ってくる。こんな時でもみんな淡々と生活を送っており、すずさんと周作さんはときどきイチャイチャしてる。

8月には食糧が配給制になった。物資不足で物価が急騰。砂糖600gが一か月分の生活費に相当するほどに。配給以外はほとんど手に入らん。

いまにお砂糖が150円くらいになって。靴下だって三足買うたら1000円にmなる時代が来やせんかね。そ、そんな国で生きてけるんかね!?

道端で女を売る人も出始める。それでもまだ、映画なんかの娯楽は残ってた。

住む街も仕事も苗字も変わって。まだ困ることだらけじゃが。ほいでも周作さんに親切にしてもろうて、お友達もできて。今覚めたら面白うない。今のうちがほんまのうちならええ思うんです。

だんだん栄養不足と環境の変化で月の巡りが悪くなってきたけど、それを妊娠か?などと勘違いして喜ぶシーンなどがあったり。

子供でも売られてもそれなりに生きとる。だれでも、何かが足らんくらいでこの世界に居場所はそうそう無うなりゃせんよ、すずさん。

すごい達観しとるね……。

1944年10月

空襲警報が増える。従弟が物資の疎開を行う。
ケイコさんがお勤めに出て。ケイコさんの娘も作業をするようになる。このころになると、「ごはんとみそ汁」は食べられなくなり代用食になってくる。木炭の配給は足りなくなり、炭団やさらに落ち葉などで代用。容姿にも気を遣う余裕がなくなる。
婦人会が今から見たら冗談みたいな、あの「竹槍の訓練」なんかも始める。だんだん「非国民」みたいな言葉が出てくる。

なんかね、このあたりの変化も、起伏なく淡々と描かれている。戦争の部分は、なんか「遠いところ」で起きていて、その変化だけが着実に影響を与えてる感じ。


たまに陸にもどってきた兵隊さんはこんなことを言う。

ええ艦なのに活躍も沈没もせずじまいじゃ。同期もだいぶ靖国へ行ってしもうて、集会所へも寄りにくうなった。のう、周作さん。死に遅れるいうんは焦れるもんですのう。

やはり淡々と受け入れているのが恐ろしい。

当たり前のことで怒って、当たり前のことで謝りよる。
すず お前はほんまに普通の人じゃ。

のう すず。

兄ちゃんは、うちが貧乏じゃけえ海軍兵学校へ入った。当たり前の理想じゃ。
わしは兄ちゃんが死んだけえ、代わりに海軍志願兵になった。当たり前のユメじゃ。
軍人は命を懸けて戦うもんじゃ。これも当たり前の務めじゃ。

ほいでも へまもないのに叩かれたり
手柄もないのにへいこらされたりは
人間じゃのうて、わらや神さまの当たり前じゃないかのう……。

わしはどこで人間の当たり前から外されたんじゃろう。
それとも周りが外れとんのか。 ずっと考えよった。
じゃけえ、すずが普通で安心した。

すず

すずがここで家を守るんも
わしがアオバで国を守るんも同じだけ当たり前の営みじゃ。

そう思ってずうっと、この世界で普通で……まともで居ってくれ。

わしが死んでも、一緒くたに英霊にして拝まんでくれ。
笑うてわしを思い出してくれ
それができんようなら、忘れてくれ。

 


そして、兄要一の戦死が告げられるのです。


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