なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

「生贄投票」ネタバレ感想 なぜこういうできの悪い漫画を宣伝でごり押しするのだろうか?

追記

もともと「生贄投票」というケータイ小説の原作があった。

そこそこ人気がある原作をコミカライズして儲けようとした。

まともにコミカライズしようとすると分量が多くなりすぎるから改変した。

その結果、あまりに出来が悪い作品が出来上がった。

ということのようです。ヤングマガジン海賊版の編集者が悪いということになりそうですね。


スマホでの宣伝が死ぬほどうっとうしいマンガ

もう作品内容より、そもそも「なぜこの漫画を宣伝でごり押しするのか」というところが私にはよく理解できない。もっとほかに宣伝するものあるのでは?って思ってしまう。


「宣伝でごり押しするならなんでもうちょっとまともなマンガを宣伝しないのか。前に恋は雨上がりのように、やってたけどそれ以外でまともに読めるマンガ広告してるのほとんど見たことない」



「アホか、わざわざごり押ししなくても売れるマンガはこんなところで宣伝しないだろ」



ガラケー時代から、バナー広告をクリックしてマンガ買うやつはこういう作品を好んで読む、というデータがあるんだろ」



「宣伝でこういう作品がブーストされ、その結果としてさらに"宣伝で読むやつはこうう作品を読む"というデータが上書きされていくのか。ますますえげつない作品が宣伝されるようになるな」



「データに基づいたマーケティングってこういう歪みをちゃんと排除できるようになってるの?なってなさそうだよな」



「そういう話じゃなくてさ。そもそもマンガを普段読んでないやつ向けの宣伝なんだよ。これよりももっといいマンガがって言ってる時点で的外れだって気づけよ」



「マンガって枠組みで考えるからダメなのであって、2ちゃんまとめとか見てるやつがクリックしそうなタイトルを考えたらこういうのが受けるってわかるだろ?需要があってそれに供給があるだけだ」



「お前も結局気になってるじゃねえか。その時点でお前もゲスなんだよ。たくさん広告が表示されるから、とか言い訳するなよ。それでも読むやつは読むし読まないやつは読まないんだよ。読んでるお前は結局そういうの好きなんだろ」




みたいな感じかな。



まぁ実際、ほかの読むべき価値のある作品を差し置いて読んでる時点でどんな言い訳もできないか。



宣伝ってすごいな(棒)



いちおう作品内容についての感想 (読む必要ありません)


しかし、この作品、間違いなくこの系統の作品で一番出来が悪い。

ストーリーは、

①とあるクラスメンバー全員にいきなり「生贄投票」の通知が来る。

②メンバーは生贄にしたいメンバーを投票し、投票された人は自分の隠したい過去をネットに拡散されてしまう。

③このクラスは、過去に女性教師をいじめて自殺に追いやった過去がある。犯人はこの教師の関係者で、その復讐をたくらんでいるのではないか

以上。





得票数が少ない人が死ぬという設定だった「投票げぇむ」に似てるけど、あれがかろうじて読める作品だったのに対してこの作品は出来が悪すぎる。

①この作品で「投票ゲーム」を仕掛けてる存在、警察や大人の介入を排除する仕組みが全くない。普通に考えて1件目の時点で警察マターであるが全く出てこない。

→ごめん、後になって出てきたわ。遅いけど。すごく遅いけど。



②「社会的死」といっても登校拒否になる程度。ゲームを強制する仕組みとしても弱いし、ましてそれを理由に仲間で殺しあうとか意味が分からない。「女性教師をいじめて自殺に追いやった」という事実をクラスが共有している以上、個人の変態趣味がYoutubeにアップされる、とかよりそっちの方がやばい。



③さらに言えば、犯人が内部の人間と限られた時点で、もうそいつら監禁してそいつらが何もできないようにするはずだが、みんなおとなしく家に帰り、犯人のなすがままにさせている。




「登場人物の頭が悪い」だけでは納得できない。茶番にもほどがある。




明らかに、ほかの作品をマネして作ったが、あんまり深く考えてない。


実在するのかどうかは知らないが、ラノベには、「ラノベだけを読んで育った人が既存の作品のラノベを参考にしながら書いた実力不足の作品が出版されている」という都市伝説があるらしい。これもまさにそんな感じだ。


とりあえずそれっぽい枠組みと、えぐい絵柄があれば、それを宣伝すれば売れる、くらいの考えなのかもしれないかなぁ・・・・・



あとがきの作者さんみたら悪い人じゃなさそうなんだけどな。それと作品の出来はまた別の問題。心苦しいけど言うと、やっぱりこの作品は駄目だと思います。



追記:原作小説があってそちらが人気というパターンだったようです。


生贄投票 | 小説サイト ベリーズカフェ

 

この作品にはちゃんと小説版で原作が存在しており、一過性の流行にのって生まれたコミックというわけではありません。ですが、小説版での登場人物の設定などが大きく変更されているうえにストーリーもオリジナル要素が多いため、それなりに面白かった小説版の展開が全て台無しにされてしまっています。

例えばコミック第1巻で痴態を暴露され車にひかれて命を落とした環奈ですが、小説版では自分を助けるために家族が一生懸命タップする姿をみて改心して最後まで生きることをあきらめません。召使いのように扱っていたクラスメイトにこれまでの行為を謝罪し許しを乞い、同じく痴態を曝された柴田も環奈が他のクラスメイトと和解できるよう奔走します。柴田自身ももはやクラスでは孤立せざるえない状況ですが、自分が全て失ったから皆も巻き込むと己を見失うことはなく、もう一度改善できる可能性を残すため自分だけでなく環奈のためにも一生懸命がんばります。そんな柴田の姿を見て環奈は心を惹かれ、互いの性癖改善なども含め正式に相思相愛となります。こんな感じで環奈も柴田も人間的にかなり成長するのが小説版の見どころなのです。もちろんそれでハッピーエンドといかずクラス崩壊を利用して成り上がりを狙っていた江留厳の暴走で二人は命を落としてしまいます。江留厳に肉体関係を迫られてもしっかり拒絶した環奈は江留厳に刺され、環奈をかばった柴田も刺されてしまいます。この二人の犠牲を無駄にしないために、それまで混乱に呑まれていて何もできなかった主人公である美奈都や玉森が生贄投票のプログラムそのものを止める覚悟を決めるのが終盤への暗いマックへ続いていく...という大きな転換点でもあったのです。

上述したような感じで小説版は途中まで環奈と柴田の役割が大きいのですが、こちらのコミック版はなんと1巻の序盤でいきなり二人とも命を落としているので完全にオリジナルストーリーなのです。しかも曝される痴態が小説版よりも酷いですし、悪役の江留厳もただの小物で終わっており小説版で感じた高揚感は全くありません。

なるほど。

宣伝でも悪役として描かれていた「江留厳」というキャラ、マンガでは一瞬で脱落しますが、一応それなりに含みを持った存在だったのね。

ということは、残念だけど、作者さんが圧倒的に力量不足か、編集者がゴミかのどちらかということになりそうです。


ストーリーの完全ネタバレ。いないと思うけどマンガ読むつもりの人はここから先は読まないように

①そもそも、すべての始まりは本来の担任であった室岡が解雇をされたことでした。


②次に担任となったのは伊藤でしたが
室岡の復帰を求める2ーC全員から嫌がらせを受け辞めさせられてしまいます。
これに激怒した伊藤は生贄投票のプログラムを何者かと共に製作し2-Cの復讐をはじめます。


③そこへ事情を知らない二階堂ありさが担任となり2-Cが担任をボイコットし続けることに疑問をもったことで話がややこしくなったのです。



④伊藤は自身の復讐に気付いた二階堂の命を奪い、二階堂の名前を利用して2-Cに復讐をしていたのです。



⑤なぜか二階堂は幽霊となって伊藤にとりついて仕返しも含めて命を奪い、美奈都や玉森たちの戦いは終わります。



⑥ですが伊藤が作った生贄投票のプログラムは制御を失って暴走して嘆願システムがダウン、生贄決定と同時に生贄は干からびるという恐怖のシステムとなり翌年の2−C組で生贄投票が始まってしまい2-Cは全滅します。こうして2−Cはそれ以来作られなくなりました。



⑧それから25年後になって、美奈都の娘が生贄投票に参加させられるところで終了



という救いはないけれど、読み応えは確かにあるという展開が本来の展開なのです。


うわああ……マンガ版原作とあまりに違いすぎて萎える……。

作者の人には悪いけど、マンガ版読む価値なしということで。