ゼンショーの財務状況
5月22日追記。訂正とお詫びについて。
・・・そろそろいたたまれなくなってきたので。
記事を公開した後、数値の取り扱いや現状認識に対する誤りについて訂正のツッコミを頂いておりました。 自身も記述内容や現状の認識についてはについて確認し、その後の記事で記事内容の訂正をお伝えしたり一時ソースのリンクを貼って確認を呼びかけていたのですが、そちらの記事は全く見てもらえていない状況であり、改めてこの記事の冒頭で、訂正をお伝えさせていただきます。
まずこのツイートを見た上で記事をお読み下さい。
増資はこの10年で今年の1回しかしてないし、それで自己資本比率は23%代まで改善してるし、PER高いのは完全に優待厨のせいなんだけど、こんないい加減な記事に330ブクマって。 / ゼンショーの財務状況 - お前のことが好きやったんや http://t.co/Zob4OKwzBj
— 東証Project (@hakurei_am) 2014, 5月 22
このツイートを念頭に置いた上で、、みなさま、是非ご自身で今期のゼンショーの決算短信をご確認下さるようお願いいたします。その上で、私の記事の内容についてあってるところ間違っているところをご判断下さい。
http://www.zensho.co.jp/docs/1434Qall.pdf
決算短信です。主に自己資本比率やICRのところをご確認お願いします。
http://www.zensho.co.jp/docs/PP%204Q.pdf
主に来年度計画をご確認お願いします。本当に来年度計画通りにいけばPERは35倍になります。
また、牛丼業界については、Gabagenewsさん(不破雷蔵さん)が長年にわたって定点観測を続けられており、めちゃくちゃ詳しいので、私の記事よりそちらの記事を確認していただければより確実だと思われます。
以上よろしくお願いします。
このたびは、ご迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。
「なんでここまで嫌われてるのにブラック経営やめないの?これだけでかい企業なんだから、ちょっとくらい従業員の待遇よくしてもいいでしょ?」って思う人がいるかもしれません。
でも、「それができたらやってる」かどうかはおいといて、それは多分無理だと思います。
ゼンショーはたしかに従業員のみならず株主からもいろいろと搾取してるけれど、決して潤ってるわけじゃなくて、ものすごい勢いで成長はしているけれども財務的にはギリギリ崖っぷちの企業です。しかも年々崖に近づいていってます。
これ2010年の資料ですが、もうこの辺からずっと言われてます。
http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~nakajozm/htmlpage/pastworkPDF/2010zensho.pdf
こっちは2014年の資料。有利子負債の増加率見てじょじょじょ。
http://jp.reuters.com/investing/quotes/balanceSheet?symbol=7550.T
ソフトバンク的経営(ちなみにソフトバンクはゼンショーよりさらに10倍狂ってる)
ゼンショー 売上4175億円 ROA(総資産利益率) 2.05% ROE(自己資本利益率) 12.50% 自己資本比率 16.5% 有利子負債 1382億円
吉野家HD 売上1646億円 ROA(総資産利益率)-0.39% ROE(自己資本利益率) -0.84% 自己資本比率 46.8% 有利子負債 271億円
松屋フーズ 売上791億円 ROA(総資産利益率) 1.27% ROE(自己資本利益率) 2.32% 自己資本比率 53.5% 有利子負債 198億円
※参考
壱番屋(CoCo壱) 売上400億円 ROA(総資産利益率) 6.74% ROE(自己資本利益率) 9.32% 自己資本比率 73.2% 有利子負債 0円ゼンショーはROEとROAの差が大きい。財務レバレッジが大きい(自己資本比率が低い)ので
経営的にはリスクが高くてトラブルには弱いといえる。
ゼンショーは外食産業において異常な財務レバレッジ率を誇ります。これは、2005年あたりから、ソフトバンクみたいな成長の仕方をし始めたからです。つまり、常に株価を吊り上げて、その株価を利用して増資して企業買収や借金返済に使わなければ成り立たない自転車操業で成り立ってるところがあります。 無担保社債の発行もやってます。
ソフトバンク:無担保社債500億発行。有利子負債合計で約9兆円。。ゼンショー:無担保社債50億発行。: 随筆会計士の『じっくりガッポリ割安成長株投資』
財務レバレッジが外食産業としての許容範囲越えてる?からこそのブラック経営
ゼンショーの財務レバレッジは外食産業としての許容範囲を超えているのでは、ということはここ数年よく言われています。法学部で会計の授業受けてたら、絶対何人かがレポートのネタにするくらいにゼンショーやSBの財務レバレッジはキチガイじみてます。普通の大学生がちょっと会計の勉強しただけで十分わかるくらいにやばいです。正気の人間にできるレベルではない。
だからこそのブラック経営といえます。(ソフトバンクだって労働時間はほんと酷いらしいね。その分給料は高いらしいし能力が評価されるらしいけれど)
上の資料で見てもらったとおり、他の2つの牛丼チェーンとくらべて、圧倒的に負債率が高いです。しかも年々その負債率は上昇していってます。(逆に松屋は負債率が低すぎるのでもうちょっと頑張ってもいいと思う)
超高成長のツケですね。 財務的にはつねに崖っぷちで、こけたら即死できます。財務面ではあのワタミよりはるかにやばい状態です。 はっきりいって、超高成長をエサにして株価上げて、その株価で株主からお金吸い上げて増資するというサイクルが維持できないと、場合によっては一瞬で破綻します。(正確に言えば、ゼンショー全体は倒産はしないと思います)
個人的に、道徳的な問題はよこにおいといて、ゼンショーは「成長過剰」の企業が、どういうところで歪んで、その結果どういう風に問題が起きるのかというケーススタディとして、ブラック企業を理解する上でとても興味があります
http://economic-news.ldblog.jp/tag/%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC
今更労働環境改善のためとはいえ成長路線をストップさせたら株価下落→株価下落してしまうと「増資して借金返済」の自転車操業が止まって即死するのでやめるわけにはいかない
財務の話だけじゃなくて株価の話もしておくと、これはまぁ吉野家も松屋もそうなんだけれど、牛丼チェーン店は営業利益率が低いのは有名だと思います。その結果、PER(株価収益率)がやばいことになっている。
吉野家83倍、松屋28倍とこちらもおかしいのだが、ゼンショーに至っては300倍を越えていた時期があった。現在はだいぶ下がったがそれでも135倍だ。これは現状維持だと135年かからないと今の株価に値するだけの収益が出せないということになる。
ちなみに飲食業の場合、売上や会社規模が安定成長だったら株価がPERが10倍~20倍のところに落ち着く。非飲み屋系優良企業で見てみるとアークランドサービス18倍、物語コーポレーション14倍、大戸屋31.9倍、ココイチ29倍、王将21.4倍、サイゼリヤ25倍、ドトール18倍、ロイヤルホスト35倍といった感じだ。このあたりがまぁ妥当かちょっと過大評価、という感じ。 ※ちなみにワタミは28倍だが、これは飲食業界ではアカンやつです。来年は赤字転落のためそもそもPER算出できません。アカン。
いくら株主優待の力があるとはそれを含めても、ゼンショーには株式市場から理不尽なまでの高成長が期待されているということがわかると思う。
http://economic-news.ldblog.jp/tag/%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC
←「安定成長」が維持できる成長スピードを超えちゃっているでござる。
http://diamond.jp/articles/-/11405
これが、普通の企業と同じ成長スピードに成っちゃうと、少なくとも株価は4分の1くらいまで下がります。もしそうなったらゼンショーは一瞬で破綻します。ずっと破綻する破綻するって言われながら成長し続けてるのはソフトバンクと似てますね。さてどうなることやら。
ゼンショーが一番恐れてるのは?
「だからなんだ」という主張があるわけじゃないですが、「内部留保ガー」とか「従業員からの搾取で経営者が潤ってるー」みたいな話だと誤解してる人がいたらなんだかなーと思ったので一応。 ゼンショーが恐れているのは成長がストップして投資家に愛想をつかされることであって、ネットバッシングなんてそれと比べたら蚊に刺されたようなものだということを理解しておくといろいろと捗ると思います。絶対にここの株を買おうとは思わないですが。
参考資料
反面、急激にグループ拡大を進めたことにより有利子負債が急増したため、不採算チェーンの統廃合を進めており、どんぶり専門店の「たの家」、カレー専門店の「南南亭」、ハンバーガーチェーンの「ウェンディーズ」からは撤退した。また、回転寿司事業では一時カッパ・クリエイト(かっぱ寿司)とあきんどスシロー(スシロー)の大手2社を傘下に収めて業界での地位確立を狙ったが、カッパ・クリエイトとは提携わずか半年で「提携凍結」となり、あきんどスシローとは経営陣からの反発を買う形で事業撤退(ホワイトナイトとなったユニゾン・キャピタル傘下のファンドへの事業譲渡)となり、以前よりグループで展開していた業界第5位「はま寿司」による展開にとどまっている。
経営者のための実践ファイナンス(公認会計士 大原達朗)ブログ
経営者のための実践ファイナンス(公認会計士 大原達朗)ブログ
1年以内に現金化される資産より、1年以内に支払わなければいけない負債が多く、何事もなければ1年以内に資金ショートしてしまうということだ。実際には借入の借り換えで資金はつないでいくわけで、1年以内に破綻したりすることはなく、ここまできている。しかし、それも業績がよいことが前提で、仮に赤字続きになったりすれば、金融機関もいつまでお借り換えに応じていけなくなる可能性がある。大幅減益とはいえ、まだ半期で40億円以上の経常利益もキャッシュ・フローもしっかり稼いでいるが、ベアに加え、減益傾向が続くようであれば、そう簡単な状況ではない
子供に伝えたい株式投資 7550 ゼンショーホールディングスが(いろいろな意味で)面白い!
もっとも、売上は伸びているが、利益は急減している状態が続いていたため、こんな企業の株主になろうとは考えたこともありません。それほど高くない株主優待のために、投資しようとのばかな考えを持ったこともありません。バカ高いPERの企業に今投資することはありません。
株式会社ゼンショーホールディングス (7550.T) | 株価 | 貸借対照表 | ロイター.co.jp
「負債の部」を見てみると、恐ろしい勢いで長期有利子負債が増えているのがわかると思います。
ちなみに日本国はこのゼンショーよりやばい財務状況ですね。