なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

今回のゼンショーの鍋騒動に関する整理メモ

労使問題を一端横において、今回のゼンショーの鍋騒動について自分なりに整理。

ゼンショー
http://www.zensho.co.jp/jp/ir/finance/monthly/
店舗数     1,979店舗
社員数(単独) 384人
平均年齢    38.2歳
平均年収    6,670千円

吉野家
http://www.yoshinoya-holdings.com/ir/report/shoplist.html
店舗数(国内) 1191店舗
社員数(単独) 102人 (※吉野家関係の社員数は 962人)
平均年齢 46.8歳
平均年収 6,420千円

松屋フーズ
http://www.matsuyafoods.co.jp/ir2/monthly.html
店舗数     996店舗
社員数(単独) 1,273人
社員平均年齢  33.5歳
平均年収    5000千円


ゼンショーは国内牛丼業界最大手。マーケティングにおける戦略はリーダーポジションが基本。


・2013年冬から吉野家の鍋戦略が大成功
 http://www.yoshinoya-holdings.com/ir/report/yoshinoya.html


・鍋メニュー導入は、ノウハウや設備のほか
 コンセプト自体の転換が求められるため、難易度高め。
 (「やすいうまいはやい」→「やすいうまいごゆっくり」)



・今季のゼンショーは出遅れ。ノウハウもない。
 本来であれば、時間をかけて準備し、来年から勝負すべきところ。



ゼンショーは値引き戦略が限界に達し、新メニューよる客単価向上が重要課題。
 http://news.livedoor.com/article/detail/8410515/
 鍋の市場は魅力的であり、ノウハウがないからといって、
 チャレンジャー(というにはほぼ互角レベル)の吉野家
 鍋ブランドを確立するのを黙って見送るわけにはいかない。
 「すき家でも鍋やりますよ」という表明は必須。


・そのため、今回のような急ピッチで準備不足の中導入が行われた。
 今回は導入実験であって、勝負どころの来年の冬。
 ある程度の問題が起きるのはむしろ想定しており、
 それを改善する予定だったと思われる。店員はたまったもんじゃないが。
 

・しかし、下地もなく コンセプトの転換等
 いろいろ必要な準備ができていなかった結果として、
 予定よりはるかに杜撰で店員に過酷なオペレーション導入となった。
 そのため一度に許容範囲を越えた店員がやめることとなり
 連鎖的に運営不能な店が続出した。
 もともと4月中旬でのメニュー終了は予定通りだが、それより早いメニュー終了。
 ただし、店長やエリアマネージャー職の退職の報告については
 今のところあまり目立った報告がない。


・今回のポイントは「退職の連鎖」により「閾値」を越えたことである。
 株における、投げ売り連鎖によるγ値越えのようなもので、
 おそらく今までのリスクマネジメントにおいて、
 こうしたケースは想定されていなかったと思われる。
 今後は、会社がこのリスクを想定するようになるだろう、という意味で有意義。




・戦略レベルで大きく誤りではないが、
 実施において予想を越える大失敗だったといえる。
 


松屋は、このあたりあらかじめ把握しており、
 限られた店舗で鍋メニュー導入して実験を行っている。



・今回の件はゼンショーにとって致命的かどうかという問題だが、
 この件そのものの影響は限定的であると思われる。
 4月の月次報告が出るまで分からないが、
 (3月の売上の4分の1程度が減少および、採用コストの上昇などがリスク)
 株価においても現時点では大きな影響は見られない。
 今期の出店計画が大幅に減速したり
 人手不足で出店が困難になるということもそうそうないのでは。



・この件の影響よりはるかに問題なのは、
 安売り・デフレ戦略の限界が見えつつあること。
 消費税増税の苦しさもあり、
 なんらかの新しい戦略が見えないとじり貧になるのは明らか。
 
 今回の鍋騒動自体、この「デフレ戦略の限界」から
 抜け出そうとした試行錯誤の結果が、うまくいかなかったものだととらえるべき。



・今回の鍋騒動を特別扱いするのではなく、
 ゼンショーの労働者に対する扱いの体質そのものを考えるべき。
 そのうち青二才がドヤ顔で書いていた
 「正社員ガー」「店長でもアルバイトがー」はかなり的外れであると認識している。