なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

凪のあすから 20話 the ebb and flow of my mind...

「ピュリダンのロバ」状態を回避するために。

紡 「俺も…あいつらが、目覚めなきゃいい、正直そう思ってた。
   ちさきが俺の前からいなくなる気がして、怖かった。
   でも結局、目覚めた時は、嬉しかったよ。
   おかしいだろ?でも、嬉しかったんだ。」
美海「怖いけど、嬉しかったの?」
紡 「そうだ」
美海「私も、嬉しくなれるかな?」
紡 「美海は、ふたりとも大切だから、苦しいんだろ?光も、向井戸のことも」
美海「私、嬉しくなりたい。心から良かったって、言えるようになりたい」
紡 「きっと、なれる。」


美海2度めの試練。 ====

状況の変化を受け入れる

1度目は、灯をどう受け入れるかだった。

灯を優しいお姉さんとして慕っていたが、彼女がが父と再婚することで母となるという話になった時、自分の知っている人が知った人でなくなるのではという変化へのおそれを感じ、また生みの母との兼ね合いをうまく整理することができなくて、反発してしまった。
その時は灯を傷つけ、そのことによって自分も傷ついた。


美海は、1度目の試練において、自分の振る舞いや感情のあり方は失敗だったと思っているようだ。そのためか、人の幸せを望まないことや、人に対してネガティブな感情を持つことを恐れるようになってしまっている。
ネガティブな感情を恐れるがゆえに、それをそのまま自己否定につなげてしまい、良い感情を感じる余地まで抑えこんでしまっている。

相反する感情を受け入れる

そんな美海に一度目とは違った問が突きつけられる。

・自分は光が好きである
・光はまなかのことが好きである
・まなかは今、眠り姫のような状態である


では、自分はまなかのことをどう思うのか? 光の幸せを望むならまなかは目覚めたほうがよい。自分もまなかのことが好きであるから目覚めて欲しいはずだ。しかし、自分の光への感情を考えると、まなかに目覚めてほしくないという感情もある。素直にまなかの目覚めを望むことができない。


こういう感じで
「自分のことを第一に考えた時の最適解」と
「相手のことを第一に考えた時の最適解」が一致しない。


さすがに私みたいに年をとってしまうと、適当に妥協するのだけれど、美海はまだ中学1年生、そういう妥協を知らない。しかも以前の出来事があるから、できるだけキレイな考え方をしたい。汚い考え方をしたくない。誰かに対して、ネガティブな感情を持ちたくない。 

そうやって、「相手のこと」を考えすぎると、「自分のこと」を考えてはいけないような気がしてしまう。「自分のこと」を考える自分が最低な人間のように思えてきて、気分が落ち込んでしまった。



もちろん、実際は、人間の感情はそんなきっぱり白か黒かを区切れるような一面的なものではない。もっと複雑なものだ。 相反するような感情が共存することもできるし、ということは相反する事象だってを受け入れることもできる。

そのことを美海は学ばなければいけない。*1



今のように、「自分以外の他人」の幸せだけを願って、「自分」を大切にしないままだと、この先の展開で、「みんな」の幸せを心から笑って願って自分だけ海に溶けて消えてしまいそうで怖い。


子供の悩みに「先輩として」応えるのが大人

だが、それをどうやって美海に伝えるか。誰がそれを教えるのか。



それが冒頭の紡との会話だ。



その苦悩を馬鹿げたことだって否定しない。
キレイゴトも言わない。
「自分にだってそういう感情はある」って伝えた上で
そのことによって自分が最低だと思う必要はない、
むしろ、友達を思えばこその立派な悩みだと肯定する。
そして、今後の方向を示してやる。




そんな会話がサラっと流れていた。これ見て
紡は、大人になったんだ、もうなっちゃってるんだ、と感じた。
光との関係においてはそんなに変わってない感じを出していた。
ちさきとの関係においても、積み重ねはあるけれど決定的な変化はない。
しかし、美海との関係においては、明確に大人として描かれている。
やはり、数年前のメンバーは、特別なのだな、と距離を感じた。



そして明日の世界より

海が満ちまた引いていく夕凪
心の岸に打ち寄せられた決意は明日の光
信じて ねぇ 問いかけた 声が響く
はらはらと一緒に夜空駆けていけば
あの丘に日差しさす頃に
「見つけた」願いは宝石 輝き出す
the ebb and flow of my mind...

とりあえず20話で、美海が自分の気持ちも大切に出来るようになったはずなので、美海がみんなのために勝手に海神さまの嫁になって、一人消えていく展開は回避されたかなと。
あとED曲三つ葉の結び目と合わせて考えると、美海、まなか、光で三つ葉を形成するはずなので、ちゃんと美海も自分の恋心を大切にしながら地上に残ってくれると思う…。


それにしてもOP曲のイントロやムービーを聞いてると

https://www.youtube.com/watch?v=7shVj07oBIU

やっぱり「そして明日の世界より」を思い出すな―。
ストーリーがめっちゃ好きってわけじゃないんだけれど、
この作品曲や雰囲気はめっちゃ好きなんだよね。
私はこの作品の「青葉」ってキャラとお父ちゃんがめっちゃ好きです。

*1:この物語において「美海」という名前を与えられた美海は、まぁ、そういう役割を担うんだろうな、と思っているので、「まなか(真中)」と違って、ただ相反する者の間に立つだけではなく、両者とも、もっといえばさらに大きなものを受け入れるような役割を果たすことになるのだろうし