ゴミはゴミ箱へ

ともあれ互助会やスパムは滅びるべきである

ちひろの「はじめて恋をした記憶」

幸せなはずの、しかし決して戻らない記憶(たぶん)。
ずっと胸にぽっかり穴が開き続けたような感覚が続くけれど、
その穴はキズのように痛み続けるけれど、それでも幸せな記憶。

あかん表紙見ただけで涙が…


おそらく、23巻の過去編でも登場しているし、何らかのエピソード追加が行われることにはなると思うけれど、今わかってる範囲で振り返り。


17巻

p156

「あんたとこんな話すなんて思ってなかったし……前だったらさ――あんたみたいなオタクと人前で歩くなんてありえなかったけどさ―― でも今日は…ずっと一緒にいたいって…お…思ったよ。」

p173

「いつからって…よーわからんけど…春ぐらいかな。」
「攻略の記憶が残ってるならまだしも、春!?春なんてお前となんにも接点ないだろ。」
「なによ――!!攻略って何!?」
「だ……だって、お前、ずっとボクをバカにしてたし…いろんな男に告白してたじゃないか!!」
「あ、あんなのどーでもいーじゃん!!でもホントは…ホントに気になってたのは…ずっとあんただったかも!!」
「そ、そんな好きになり方…ありえないんだよ…!!攻略もしてない…接点もない…なんで、それでボクが好きなんだよ!!」
「好きになるのに…理由なんてないよ!!気がついたらもう、好きになってたのさ!!」

4巻

「どーせ、本当の恋愛なんて知らないわよ…じゃあ…どうしたらいいってのよ!!そこまで言うなら…見せてちょーだい!!」

「他の男に対する告白を手伝う」という状況において、桂馬と密接な時間を過ごすことに。この過程において、ちひろは真剣な桂馬の様子を見て惹かれていく…。ここだけ見ると結構よくある話。

しかしちひろは、「自信がないし、どうせうまくいかないから」と言ってしり込みする。せっかく桂馬が手助けしているのに身が入らぬ様子。苛立った桂馬が「少しはお前も、真剣になれ!!」と叱責する。これもよくある。

しかし、振り返って見れば、ちひろはこの時点で桂馬のことが好きなわけだ。もちろん自信がないのも事実だろうが、それ以上に「せっかく二人でいるのに、桂馬は男のことばかり考えて、ちひろの悩みについては全く考慮していない」という状態に。

実際この時、桂馬はちひろを「イベント達成のためのコマ」としかみなしていない。

「何よ!!私はムリに協力してって言ってないわよ!!」
「いーじゃん。私、なんの取り柄もないし…見た目も…かわいく……ないし…みんなみたいに輝けないもん…真剣になって、どーなるってのさ!!テキトーでいーーじゃん!!」

コレに対して、桂馬は「あいつにも…ちゃんとパラメーターはあったんだ…」という感想を持つ。そして、「ゲーム攻略対象」として相手の悩みを解決することを決める。



一度思いをぶっちゃけたちひろはさらに投げやりな姿勢を桂馬に見せる。

p96

「わ、私なんか…心配しなくてい――って!!あんたの言うとおりだよ。私、本当にいい加減な女だもの。自分でもわかってんの!!勉強だって運動だって見た目だってパッとしないし。何したって、平凡な人だもん!!なのに真剣にいきるなんて、カロリーのムダじゃんか!!」

これどっちに解釈すべきか。

1:桂馬のことが気になってるのに、やはり自信がないから、自分から情けない姿を見せて、嫌われようとする自分。「ほら、やっぱりダメだったんだ」と納得するためのセルフハンディキャプというか自己達成予言。

2:もうこの時点で心開きまくってますやーん!べたべたに甘えてますやーん!こんなん、どうでもよい相手に言う話じゃないですやーん!



ともかく、攻略モードに入ってる桂馬はそこで引き下がったりはしない。ちひろを見捨てたりしない。「本当は輝きたいと思ってるはずだ」「おまえだってもがいてる、頑張ってる」って認める。そして、「望めばちひろにだってできる」と励ます。


この時に吐露されるちひろの気持ちが、
「攻略前から桂馬が気になってる(憧れてる)理由」を示唆している。

①「なんか、光ってる人に憧れちゃうのさ。
 憧れてる間は、私も一緒に光ってる気がして…
 たまにアホらしくなるけどさ…」
「まったく、だらしない奴だな。」

②「な…なによっ、私ら似た者同士かと思ってたのに。
 あんただって、適当に現実生きてんじゃん。
 ゲームの中に逃げ込んでさ。
 あんたなら私の気持ちわかるかと思ってた。」

ここで結構二律背反的な気持ちがある。

基本的に、攻略前は②の気持ちが強い。
「ダメなもの同士という思い込みからくる一方的な共感」である。

でも、桂馬は「自分と同じダメなやつ」のはずなのに、
周りの視線を介さず、自分の好きなように、自信満々に生きていた。
多分そこに惹かれていたのだと思う。

実際桂馬は、ちひろの悩みに対してこう答えている。

「(ちひろの悩みは)まったく、わからん!!
 ボクは…たしかに現実に絶望してる。
 だけど、自分には絶望していない!!
 今がつまらないか…楽しいのか…平凡なのか…
 決めてるのは、現実じゃない。
 決めるのはボクだ!! ボクが望めば不可能はない!!」

「自分と同じであるはずなのに」(親近感)×「自分と違って光り輝いている」(憧れ)の相乗効果でちひろは桂馬に惹かれてしまったのかもしれない。

このあたりの感情は「桐島、部活辞めるってよ」や「じゅういちぶんのいち」でも描かれているもので、とても自然なことだと思う。本当は頑張りたい、本当は輝きたい、と思っている人ならそういう人を見ると、「ものすごく嫌悪する」か「好きになるか」どちらかになると思う。無視はできないはずだ。

もちろん、そうはいっても桂馬がそうだからといって自分も、とはなかなかならない。問題なのは「自信のなさ」なのだから。「お前だって……望めばなんでもできる!!」という桂馬の声をちひろはなかなか受け入れられない。

「で、でたらめよ!!現実には限界があるのよ!!私がやる気になったからって、かのんちゃんみたいなアイドルになれると思う!?」
「それはちひろ次第だ!!」
「ムリよ!!」「私だって、光れるもんなら光たいわよ!!」
「ちひろが望めば…できるよ。たかが現実だ。お前なら楽勝だ!!」
「な、何しても私なんか……どうせ…どうせ…どうせ平凡なの!!」

之に対して、桂馬は○○した上で、

「できるよ。不安になった時は、いつでもボクが助けてやる!!」

という、これは攻略のために発された言葉かもしれない。





でも、ちひろには「絶対の約束」として心に残る。
そして、あれだけ自信がなかったちひろも、不安に負けない自信を取り戻す。
それは、攻略の過程が記憶から失われても、残り続ける。

銀の手は消えない!

そして、千尋はそのあと自分の「輝きたい」という気持ちにしたがってバンドを始める

私も歌ヘタだけどさ――
自分の人生、いつも私がボーカルだ!!
ヘタでも私が歌わないとね!!

でも、自信がなくて、何もできなかったはずの私は、
どうしてこんなに今落ち着いていられるのだろう。
なにか、夢を見ていたような…


22巻

実は、ちひろも子供の頃は、
あまり他人と比較して自分を卑下することはなかった。
むしろ、自分の感覚に従って行動するタイプだったのだろう

それは、22巻において「心のスキマ」が大きい順に
ランク付けがされる仕組みにおいて、
上位に入っていなかったことからわかる。

むしろ、ここで「歩美」は上位に入り、
旧悪魔のターゲットにされている。
そのことが、女神編での差につながったというのは皮肉である。

なんにせよ、基本的にはちひろは自分の心に従って行動するタイプだろう。
1度目の攻略完了後には、自分の意思にもとづいてバンド活動を始めていることからもなんとなくわかる。




ちひろの思いは叶うのか

ちひろの漢字は多分「千尋」。

その名に込められているのは「望みを達成するのは長くて困難な道のりではあるけれど、その道を踏破することさえできれば、どんなことだって不可能はない、ガンバレ!」という想い…かもしれない。真の神である若木さんはいったいどこまで考えてるんだ…

名前にまけずに最後まで歩ききって、できるなら思いを遂げてほしい。そうでなくとも、できるところまで全うしてほしい。本当に辛くて長い道だけれど。


http://earlofleicester.hatenablog.com/entry/2013/09/25/125901

を見て勇気づけられました。本当に有難うございます!

広告を非表示にする