なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

「ログ・ホライズン」5巻まで読んだ

この作品のアニメ放送がガッチャマンクラウズの次に来るってのがすごく面白い。ガッチャマンクラウズの累くんが目指すアップデート後の世界?とか思いながら楽しんだ。


この作品は、ソードアート・オンラインのように、ネトゲプレイヤーがゲームの世界に取り込まれて・・・という感じで始まるが、5巻まできた結果「新人類」(冒険者)と「旧人類」(大地人)が明確に別れた世界、のような様相を呈してる。


ガッチャマンクラウズの累くん

ガッチャマンクラウズでは一生懸命累くんが社会をアップデートさせようとしてる。もっとも、彼の発想は、今のところ「選ばれし人(自分が選んだハンドレッズ)」が社会の変革をリードし、人々を導くみたいな単純なものである。社会を全体を変える、というよりはある程度の規模の人間の意識が変革することを目指す、程度の話になりそう。

累くんは能力を持ち、真摯ではあるが、おもちゃを与えられた子供の取り組みのように見える。(本当はもっとゆっくり社会を変革するつもりだったのかもしれないけれど、クラウズの能力を与えられておかしくなっちゃったのかもしれないけれど)、作品中で描かれる累くんは、Facebook創始者ザッカバーグが映画で描かれたように精神的な幼さが目立つ。それを、総裁Xがメンタルケア(という名の誘導)とかやりながらなんとかかんとか頑張ってる感じ。・・・あれ、クラウズはともかく、総裁Xってカッツェが入り込んだりしてないのかな、大丈夫?
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20130812/1376257398

「社会変革しなくても、意識が高い連中だけ別の世界に移動させればよくね?」

で、ログ・ホライズン

「変革した人」というと大げさだが、既存の社会にとらわれず、新しい社会を志向できる人だけを、社会が成立するくらい数万人の規模で別世界に移動させました。移動した先には、NPCじゃない人間がいました。そんな感じの世界。*1

彼らは作品中で「冒険者」と呼ばれます。
冒険者はネトゲやってるくらいだから年齢層はかなり若い。年長者がいないわけではないが、ネトゲやってるくらいなので、考え方は柔軟。冒険者はいろんなシステムの恩恵を受け、戦闘もレベルアップもする。明らかに「冒険者以外=大地人」より強いです。クラウズを手にしたハンドレッズみたいですね。

さて、クラウズを手にしたハンドレッズの数がもっと増えました。
これでルイルイが目指した理想の社会を作れますか?


社会を成立させ、良好に機能させるためには何が必要かをまず勉強しましょう

さて、「理想の社会」を阻む既存の社会もろもろはなくなりました。
では、これですぐに理想の社会が実現するか?

しません。

新しい社会にはいろんなものが足りないからです。
ぜんぶGALAXYだけで良くね?みたいな発想ではうまくいかないわけです。

今まであるのが当たり前のように感じていたものがなくなってしまった。
このセカイで、彼らはまず充実した人生を送るために何が必要かを一生懸命模索しなければいけない。


クラウズの力では対応できない敵の存在

ログ・ホライズン」は1巻、5巻がすごく面白い。

1巻で主人公が戦う敵は、「街にはびこる何かいやな雰囲気」「希望や目的の不在」「閉塞感」「法やモラルの不在」など。

5巻は「なんとなく荒れた感じ」「攻撃と認識できない攻撃」「運営システムへの過負荷」(運営そのものの未成熟)。

もんだいなのは15%の流入人口が引き起こした60%を超えるトラブルだ。

 処理すべき案件が、加速度的に増加しているのだ。
それは街中での揉め事だけとは限らない。むしろ、直接的な争いに発展する事例は氷山の一角だ。たとえば、一枚ですむ申請書類を二枚に分割して提出する。街へ入るための手続きで係員を占有する。税をわずかにごまかす。賄賂を贈ろうとする。ひとつひとつは取るに足らない、煩雑なだけの雑事。それらを最大化しようとする意思が、このアキバを襲っている。
 それはあまりにも迂遠で、悪意を確定しづらいために、気が付いた冒険者たちも「攻撃」だと確定できなかった接触だ。しかし、そのくだらない接触が、つもりにつもって「生産系ギルド連絡会」ひいては「円卓会議」をも縛ろうとしている。
 攻撃だと認識できないから防御ができない。敵はその隙を最大限利用しているのだ。

今回の敵は同時多発テロ。しかも末端の悪意なきテロだ。敵はほとんど何も考えていないのだ。もちろんその指揮官に全体の目的は漠然とあるだろうが、その攻撃のひとつひとつは、あらゆる現場でほとんど思いつきで行われている。精緻な戦略にもとづく一点突破攻撃ではなく、手当たりしだいのアドリブ攻撃といった様相だ。しかも、攻撃の実態をなんとか推論できたのは、すでに「敵」の布陣が完了し先制攻撃を受けた後である。

これらは、いくら冒険者が強くても、それだけでは倒せない。
むしろ、敵は自らの裡にあり、という感じです。
こういう敵とたたかうためにこそGALAXYがあり、人の善意が必要になるというのが
ルイルイくんの考えだろうけれど、そこまでガチガチに考えなくても
もっと簡単に解決する方法があるって教えてくれるのがログ・ホライズン


社会って、結構いい加減だし、いい加減な方がいざという時強いのかも。
理想の社会とはいったい、ウゴゴゴゴ・・・

*1:「グリードアイランド」に近いけれど、NPCもまた人間で、数としてはこちらのほうが圧倒的に多いというところや、ゲームの管理者がいない(今のところ)というのが大きく違いますね。