なろう原作マンガの感想など

歴史漫画のまとめを作るはずだったのに、いつのまにかなろう原作マンガの感想ばっかりになってしまった

俺妹のキャラでWhiteAlbum2を説明してみる

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130701/p1

ブログ「物語三昧」で、様々な刺激を与えてくださっているペトロニウスさんがWA2をついにプレイされたということで再掲します (※俺妹11巻発売直後に書いた記事です)

エロゲーにおいても「序列一位ヒロイン」→「ヒロインの相対化によるハーレムメーカー」から「ヒロインの逆襲」のような流れを感じさせる作品がないか考えてみました(真ん中のハーレムものは数が多すぎるので割愛しました)


http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130210/p1


読みました。気になったポイントを箇条書きにしてみる。

・物語全体のダイナミズムを「理解してよみ切る」行為を指して、メタ的と呼ぶ

・物語の主軸は、妹である桐乃と京介の物語であり、このドラマトゥルギーを解決した「後で」いってを撃た

・攻略する意識があるだけではなく、その為に一番重要なのは、周りに自分と同じような主人公との関係性(=エピソードを)を持つ競争者が常にいることに自覚的かどうか?というポイント

・感情や経験不足によることにいっぱいいっぱいになりながらも、本当に大事なこと(=メタ的な戦略意識)を忘れず、意思して、決断して、行動に出る

・単純なヒロインとしての「うれしい出来事」を自らの最終的利益のために犠牲にする強い意志と覚悟と戦略性がなければ、主人公(=男)は攻略できずに、設定ヒロイン(=ここでは桐乃)にもっていかれる

・なんだかここまで来ると、恋愛の話というよりは就職活動というか営業の教科書を読んでる気分でもあり。(これが恋愛のスタンダードなら、確かに勝者は営業くらい余裕そうだ)古き良き時代のエロゲーの話を読んでるような感じでもあり。今後の作品の新しい流れを読んでるようでもあり。

この記事を読んで、思いついたことをメモ的にまとめてみます。



「どれだけ魅力的な女の子がいてもランスの嫁はシィル」問題(序列1位ヒロイン)

①YU-NO
私にとって「物語全体のダイナミズム>>>>>ヒロインの魅力」を初めて自分に可視化してくれたのがYU-NOだったかも。当時プレイしてた人には普通だったかもしれませんが、私がプレイしたのは2009年で、それまでプレイしてたゲームのヒロインは設定的には同格であることが多く、魅力勝負なところがあったのでおったまげました。

ヒロインの人気投票でいえばYU-NO、まして有馬 恵子は1位になりえないキャラで他のキャラの方が魅力的。 なのだけれど、物語の構造に真の意味でかかわれるのはこの2名だけ。 他のヒロインがどれだけ好きでも物語の要請上、絶対に切捨てて、YU-NOにたどり着かなければいけない。*1

個人的には「リトル・バスターズ」はYU-NOのオマージュだと思ってますし、「シュタインズゲート」や「スマガ」は言うに及ばず。ループものはやはりYU-NOが最強だと思う。というか物語の要請があるものは必然的にメインヒロイン決まってしまうところあるかなーと。



②EVEシリーズ
EVEシリーズはまさに俺妹みたいな感じ。桂木弥生という幼馴染がヒロインいて、他にもヒロインはいる。 ただ物語のメインヒロインは御堂真弥子。そしておそらく黒猫ポジションとして最も人気が高かった氷川恭子。 その他ヒロインもいろいろ。 しかしそこはだんだん切り捨てられていく。そして御堂真弥子のための物語を突き進んで行くのけどまやこは死んでしまい…という展開になる。ところがここでメインヒロインが死んでしまった故に、物語のドラマツルギーが完結できなくなってしまい、結局ずっと宙ぶらりんのまま何作品も重ねて、ついに6作目で開発が修了することになる。 氷川恭子の不憫さは涙が止まらないす。



③ランスシリーズ
ちなみにこの中で過去最強ヒロインはランスシリーズのシィルさんですかね。物語のスタート地点にして終着点。あまりにシィルのヒロイン格が他のキャラを圧倒して強すぎるため、シィルは氷漬けにして休場させたりいろいろ工夫してますが本当にどうしようもないほど強い。

これについてはあまりにどうしようもないため、システム同じだけど主人公違う「大悪司」「大番長」「大帝国」などの大シリーズなど派生を出す羽目に陥り、そのせいでランスシリーズの続きがなかなか出ない。ぐぬぬ。ちなみに「大帝国」はこの「メインヒロインに関するドラマツルギーが停滞してると他のヒロインにチャンスがない」問題に関して非常に納得のいく答えを出している作品なんですが、いかんせんシステムのせいで評価が低くて悲しいです。 大帝国についてどこかで語りたい!



「ヒロインの逆襲」といえばleaf作品群

leafはもともとヒロインが他のブランド作品と比べて自律性を持っているというか、主人公との関係性に頼らなくても自分の物語を紡げるヒロインが多く、そのヒロインに主人公が関わるという作品がちらほらありますね。


①鎖-クサリ-
最終的にWA2に着地するわけですが、
「計画通りヒロイン」といえば「鎖」の片桐恵は絶対にはずせない。

クローズドサークル内に殺人犯が侵入し、恐怖と疑心暗鬼に駆られる中、頼れる男は主人公一人。という状況で、ヒロインたちはこぞって主人公の愛を獲得しようとするわけですが、この作品におけるヒロインたちの駆け引きは見ものです。 ちなみにあやせポジションの子は超否定的に描かれています。

なにせ生き残りがかかってますからみんな必死ですが、その中でも片桐恵の生存にかける執念は神がかってます。これについてもいろいろ語りたい。



②「TO HEART2 AD」
ここで「ヘタレ力」という言葉が登場し話題になりました。 主人公が自らの意志でヒロインを攻略するという路線が公式に否定された作品です。 まぁそれ以前から「押し掛けヒロイン」特化ゲーとかニッチなジャンルとしてはありましたが、メジャーな作品において「もう主人公がヒロインを選ぶんじゃなくて、ヒロインが主人公を選んで、あとはそれを受け入れるかどうかだけだから」って話を堂々と言い切ったのはやはり大きかったと思います。 

作品のつまらなさもあってこのときはまだメインユーザー層には受け入れられなかったような気がします。クソゲオブザイヤーにもノミネートされてました。 このあと「カオスヘッド」という作品でこれまた「ヒロインによって選ばれる主人公」の構図がありましたがこちらは受け入れられてました。

ちなみにleafには「君が呼ぶ、メギドの丘で」という作品があって、最終的に主人公が世界から退場させられます。 主人公の否定⇒主人公が女性の争いのご褒美にになる過程で発生した悲劇ですね・・・。 「天使のいない十二月」とかもヒロインに影響力で負けて逆に支配される男の子の話ですね。




White Album2
で、満を持して登場するWhiteAlbum2。

この作品は、基本的には主人公がかずさというヒロインを好きになってしまったとう状態から、誰か正ヒロインの座をもぎ取るかって話です。

真奈美的ポジションはもちろん雪那。性格的にはとるてあの湯浅比呂美的な感じ。この雪那は内面がしっかり描かれるので、このキャラ通じて真奈美が内面どれほど「ギギギ・・・」って歯ぎしりしながら計略を実行していたかが感じるのも楽しいかと思います。

WhiteAlbum2は三部で構成されており、
一部においては雪那が黒猫、かずさが桐野です。
二部においては雪那が桐野、和泉が黒猫、小春があやせ、麻理は・・・。
三部においては雪那が真奈美+黒猫、かずさが黒猫が友達にいない桐野くらいの力関係になります。


この作品の雪那は最初から真奈美の強さを持っていたわけではないですが
いったん二部のヒロインをすべて屈服させて正ヒロインの座を獲得し、そこから真の正ヒロインにその座を追われるという屈辱に耐えながらも主人公の心を取り戻す、という過程を通じて、真の力を発揮するという展開になります。
その過酷な遍歴は思い出しても心が痛むレベルです。真奈美というキャラは、こういう試練の末に出来上がるものだと理解すると、より楽しめる感じです。


他にも、上記記事の視点を用いると似たような構図はたくさんありそうなのですね。思いつくものがあればご紹介ください。



その他「ヒロインたちの逆襲」っぽいもの

minori作品シリーズ

カルタグラ(愛のためなら大事な妹をも殺す。むしろ妹が恋愛の最大のライバルだから殺す。同類型に「銀色」)

君が望む永遠(この作品の主人公がヘタレと言われたのは、ヒロイン同士がすみわけを行わず同じ場所で争いを始めたのを主人公が収めることができなかったからですよね。「殻都市の夢」にもそういう話あります)

スクールデイズ(失敗したハーレムメーカー。アニメ版もよりもやはりゲーム版におけるヒロインの殺し合いが素晴らしい)

・催眠教室(逆説的な主人公否定)

・はるまで、くるる



さらに「一度女ヒロインに屈服させられた男主人公からの逆襲」を描いてるタカヒロ作品なんかもあるよ!

これについてはもっと詳しい人いると思うので誰かにお任せ。
というか私はタカヒロ作品基本的に好きじゃない(爆)

*1:全ヒロイン同列の大量ナンパゲー「下級生」を作ったのと同じメーカーがこの作品を出したことに驚いた。というかああいうヒロインがほぼ全員同位置に並ぶゲームを作ったからこそこういうゲームができたのかという感じ